高校に通っていると、文系や理系のどちらに進学するかを質問されたり、志望校について調べてくるように言われることがあります。
高校受験は、
□ 公立高校:一般、推薦・特色化選抜
□ 私立高校:専願、前期、後期
のように、いくつかの区別があるとはいえ、本番のペーパーテストで合否を決めるものが一般的でした。
大学入試になると、受験の方式が多岐にわたります。
今回は、その受験の方式や、それぞれの対策スタート時期を見ていきましょう。
大学入試の選抜方式
では、国公立と私立に分けて、それぞれの選抜方法を確認していきましょう。
国公立大学の選抜方法
① 一般選抜(ペーパーテスト)
大学入学共通テスト(傾斜あり)と、個別学力試験の合計点によって選抜。
前期・中期・後期などがある。
② 総合型選抜
2020年よりも前までは「AO入試」と呼ばれていたものに近い。
書類審査(志望理由書、活動報告書など)、面接、小論文、プレゼンテーション、実技などを組み合わせて総合的に評価。
大学入学共通テストが必須になっている場合もある。
3年間の定期テストでしっかり点数をとり、提出物などを期限内に出す。こういったことができる人に向いている形式。
③ 学校推薦型選抜
2020年よりも前までは「公募推薦」と呼ばれていたものに近い。
高校の成績(評定平均値)などが重視される。
国公立大学では、大学入学共通テストの受験を必須とするケースが多い。
私立大学の選抜方法
① 一般選抜(ペーパーテスト)
試験日が複数準備されていたり、他の学部・学科と併願できることもある。
場合によっては受験会場も吟味する必要がある。
大学入学共通テストを「併用」したり、英検などの資格によって英語の得点を換算したり加算したりすることもあるため、第1志望であっても併願校であっても戦略が必要。
② 大学入学共通テスト利用入試
大学入学共通テストの成績のみで合否を判定。
大学独自の個別試験を受験する必要がないため、過去問研究の負担や、受験料や移動の負担が少なくなる。(第1志望の過去問研究に、より多くの力や時間を割くことができる。)
複数の大学に同時に出願できるため、多くの受験生が利用するが、一般選抜の場合に比べて必要な得点や偏差値が高くなる。
③ 総合型選抜
国公立大学と同様に、書類審査、面接、小論文、プレゼンテーションなどで総合的に評価します。
大学入学共通テストではなく、大学独自のペーパーテストが必須になる場合がある。
④ 学校推薦型選抜(公募型)
高校の成績(評定平均値)などが重視される。
⑤ 学校推薦型選抜(指定校型)
高校の成績(評定平均値)などが重視される。
「□□高校から、◯◯大学△△学部への枠は2人」など、高校ごとに枠が設けられている。
学校内での競争率が高くなることが多いが、勝ち取ってしまうと、大学への合格率は高い。
(1年生から3年生の評定平均が4.5を超える場合もある。満点は5
大学進学者と入試方式
大学進学者数は、この10年で、どのように変化しているかを知っていますか?
「少子化も進んでいるのだから、当然、大学進学者も減少しているだろう。」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし実際は、大学進学率が増加しているため、大学進学者数はやや増加しています。
そして、この10年の間には、教育課程の変更、センター試験から共通テストへの変化もありました。
詳細は別の機会に譲りますが、とにかく覚えるべきこと、練習(演習)すべきことが増え、勉強面での負担が増加しています。
※2008年のセンター試験の英語に登場した語数から比べると、2025年の共通テストに登場した語数は約2倍でした。試験時間は同じ80分です。これだけでも「かなり練習が必要だ」「もしかして逆転するのは難しい?(→つまり、早めに受験勉強を始めなくてはならない)」と感じられるでしょう。
そうなると、次に起きた変化が「入試制度」です。
真正面から、本番の試験1回の勝負に取り組むだけではなく、
・もっと長期的に、具体的には「3年間の高校生活」を評価したり
・勉強だけではなく活動内容を評価したり
するような入試制度が広まるようになりました。
これが、いわゆる推薦入試(=総合型選抜、学校推薦型選抜)です。
全国の合計で見てみると、実は2024年度には一般入試の枠が48.9%になりました。
つまり、総合型選抜(20.6%)、学校推薦型選抜(30.5%)の2つの方式で過半数となったのです。
もちろん、大学ごとに枠の違いがあるので、まだまだ一般入試がメインになっている大学も多いです。
推薦入試の枠が10名にもならない大学もありますし、本番1回の勝負ではなくなっただけで非常に高い学力(= 学習する力)が求められる大学もあります。
しかし、実際に公立高校に通っている生徒であっても、1年生や2年生の頃から推薦の話を学校の先生からしていただいているおかげか、
「福岡大学を総合型選抜で受験したい」
「西南学院大学の指定校推薦を取りたいが、どうすればよいか」
「推薦入試も受けられるように、受験勉強と定期テスト対策のバランスをとりたい」
などの質問をいただくことが増えました。
実際に推薦で受験するのかどうかを別としても、このような入試形式があることは、知らないことが不利に働きかねない状況です。
これを機に、概要だけでもおさえていきましょう。
推薦入試(総合型選抜, 学校推薦型選抜)の対策を始める時期
ペーパーテストの点数(だけ)ではなく、書類選考・小論文・プレゼン・面接などによって受験生を評価する入試形式。
これだけを聞くと、
「受験勉強をしなくても良い?」「もしかして楽ができる?」
と思う人がいるかもしれません。
たしかに、本番1回だけのペーパーテストでの勝負ではなくなります。
しかし、高校の中でのルールや、志望する大学・学部によって評価項目は変わりますが、基本的には 評定平均が最初のふるいとなります。
つまり「3年間」の評定平均が評価の大部分を占めることから、1年生の頃から、ほとんどすべての科目の定期テストで高得点を取り続ける必要があります。
学校推薦の中でも、かつての「指定校推薦」タイプは、評定平均が非常に高く、高校内での競争もあります。
(大学が必要な評定平均は高くないが、高校内で枠を勝ち取るために4.5などが必要になることがあります。)
枠をもらうまでが長い道のりになりますが、もらってしまえればほぼ合格できるような形式です。
いわゆる受験勉強は必要ないかもしれませんが、
「3年間の定期テストでしっかり点数をとり、提出物などを期限内に出す」ということが求められる以上、ある意味、1年生の頃から対策が始まっていると言っても良いでしょう。
かつての「公募推薦」タイプは、指定校推薦タイプほど、高い評定平均を求められることはありません。
(とはいえ、結果として4.2くらいは必要になる場合が多いようです)
指定校推薦タイプと異なる点は、評定平均を上げるだけでなく、英検などの資格試験に合格していることが求められたり、出願後にしっかり小論文や学科試験などが行われたりする点です。
そのため、その条件に合わせた準備を早め早めにスタートしていることが大切です。
具体的には、指定校推薦タイプと同じように1年生の頃から定期テストを大切にしつつ、2年生の夏〜秋ごろから資格試験の取得なども視野に入れて準備を始めるのが良いでしょう。
一般入試の対策を始める時期
元も子もないことを言えば、早ければ早いほど良い、というのが結論です。
まずは、地方国公立大学(九州では佐賀大、鹿児島大など)を基準に考えてみます。
普段、定期テストの勉強は、何週間前からスタートしていますか?
1週間前から取り組んで、「もう少しあればな〜」と思っている人が多いのではないでしょうか?
入試の範囲は、大まかに言えば、この定期テスト14回分です。
※ 高1:1学期 中間・期末、2学期 中間・期末、3学期 期末
高2:1学期 中間・期末、2学期 中間・期末、3学期 期末
高3:1学期 中間・期末、2学期 中間・期末
実際の入試問題の方が定期テストよりも難しいことが多いと思いますが、ここでは話を簡単にするために、
「受験勉強」
=「これらの範囲を改めてテスト勉強し、どのテストでも80点以上とること」
というイメージを持ってみましょう。
そうすると、1週間のテスト勉強では足りなかったのだから、80点をとるためには、2〜3週間の勉強が必要かもしれませんね。
すると、
14回 × 2〜3週間
= 28〜42週間
= 7ヶ月〜10ヶ月
となります。
確かに「どんなに模試の点数が悪くても本番で点数をとれば合格」は正しいですが、それでも10月や11月の模試にはA判定やB判定などの結果を出しておきたい。
そもそも過去問演習もしなければならない(詳細は割愛しますが、4〜5ヶ月かかります)。
そんなことを考えていると、夏休みには、上記の「7ヶ月〜10ヶ月」の勉強を終えている必要があります。
その間、修学旅行や体育祭、文化祭なども考えると、少なくとも2ヶ月は猶予を持っておいた方が良いでしょう。
つまり「高3の夏休みの9ヶ月〜12ヶ月前」=「高2の9月〜11月頃」が、地方国公立大学の勉強スタート時期となります。
これを基準にして考えると、
● 地方の私立文系であれば科目数が半分だから「高3の4月」
● 上位国公立(九州だと長崎大学、熊本大学など)はもう1回転するために「高2の4月」
● 難関国公立(九州だと九州大学)はもう2回転するために「高1の9月」
などが、「それまでにはスタートしておきたい」時期となります。
もちろん、
・通っている高校(進度の関係)
・習得度合い(定期テストの点数や模試の偏差値)
・どのくらい勉強に時間を割けるか(部活など)
・文系か、理系か
なども重要な検討事項になります。
上記の日付を過ぎたから絶対に間に合わないこともないですし、それより前に始めたから絶対に合格するわけでもありません。
実際、古賀塾では「高3の11月の模試でE判定だったが、無事に第1志望の西南学院大学に合格した生徒」なども多く見てきています。
それぞれの状況に合わせた学習計画を立て、その進捗を丁寧に確認していくこと、志望校に合わせた対策を行うことが重要です。
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投稿者プロフィール

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生徒それぞれの目標に対し、現状把握・分析から最短距離で合格するためのカリキュラムとスケジュールを作成し、進捗をしっかり管理することで合格力を高めます。
大学在学中から塾講師として指導に携わる中で、生徒の成績をアップさせることに魅了されました。東進衛星予備校の校長としての教務も経験しております。
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