今回は、西南学院大学対策(英語)についてお話ししていきます。
西南学院大学の英語【難易度と傾向】
英語に関しては、少し前にも書いた記事があるので、合わせて参考にしてみてください。
【西南学院大】英語の配点について
コチラの方では、
・傾向分析(得点予想)
・国公立の人が併願するメリット
などにも触れています。
西南学院大学の英語の入試問題は、主にCEFR-JでA2〜B1にあたる難易度で構成されています。
英検では準2級〜2級が対応します。
ただし、たとえ難易度は同じ程度でも、2級にギリギリ合格するような正答率だと、西南だと合格点にたどり着けるかどうかは怪しくなってきます。
傾向(解くのに求められる力)は「ほぼ一定」で、形式(問題の見た目)は「頻繁に変わる」ようになっています。
ただ、大問の順番はバラバラになったり、問われる力は変わらないものの見た目が少し変化することはあるので
①形式ごとの対策をした上で、
②「今年はどこが変わっているかな〜」くらいの気持ちで臨む
ということが重要です。
2023年まではよく出ていた整序英作文(並び替え)ですが、2024年は出題されていませんでした
それでも「誤り指摘」の問題は出題され続けており、こちらの方が、より西南学院大学っぽいように感じます。
なお、ここでは詳述しませんが「西南の誤り指摘の問題では、分詞に関する問題が非常によく出ている」ということは付記しておきます。
大事なことは、かつての整序英作文も、長文読解の空所補充問題や誤り指摘の問題も、どちらも
① 英文解釈力
(英語の構文を把握する力、英文法を活かして理解する力)
② 英熟語
(前後の文脈から意味を判断する場合も含む)
が求められている、ということです。
2024年度の西南学院大学の英語
ここでは、簡単にですが、2024年の英語の問題について、コメントしていきます。
第1問:読解(空所補充)
300wordsほどの長文を読みながら、随所にある空所を埋めていく問題です。
空欄には
□ 適切な前置詞を選ぶ問題(英熟語など)
のように、その前後だけを読んでも正解できそうな問題もあれば、
□ 適切な形容詞を選ぶ
□ 適切な動詞を選ぶ
□ 適切な 時制・時 を選ぶ
のように、文脈や文章の流れを把握していないと正解できない問題もあります。
かなりおおまかな2分割ではありますが、自分で過去問を解くときには注意しておいてください。
特に秋ごろからお問い合わせいただく受験生の中には、前者の知識問題を多く間違えているのに
「長文が苦手だからたくさん長文を読もう!」
となってしまっていたり、逆に後者の問題を間違えているのに
「まだまだ知識が足りないから、新しい参考書・単語帳を始めないと!」
となってしまっていたりする生徒がいます。
そうすると、「時間をかけて対策をしている」はずなのに点数が伸びない、ということになってしまいます。
肩がこっているのに、ふくらはぎをマッサージしていて「肩こりが解消しない…」と言っているくらいのことですが、自分だけで勉強している場合には陥りがちです。
必ず、学校の先生や塾の先生など、信頼できる人に相談をしてください。
第2問:文法・語彙(同意表現への書き換え)
2024年からの新入りです。
この形式でも、分詞が頻出項目になりそうです。
接続詞のついた副詞節を分詞構文を使って書き換えたり、別の日程では逆に「分詞構文を接続詞のついた副詞節に書き換える」問題が出ていました。
他には、too ~ to Vをso ~ S can[could] Vで書き換える問題などです。
たとえば『Vintage』では、今でも掲載されています。
3rd editionを持っている人は、p.76の137やp.148の306などを確認しておいてください。
※ ちなみに、137は基本問題、306は基本問題かつ超頻出問題(問題番号が赤色)に指定されています。
こういった言い換えの表現は、特によく出るものは、最終的には暗記してしまいましょう。
ここで終わっても良いですが、もう少しだけ詳しく見ておきます。
西南学院大学が求めている「書き換え」は、英熟語を同じ意味の英単語に書き換える、のような単純なものではありません。
節から句、句から節への書き換えになっています。
このことからも、和訳問題こそ出してはいませんが、ただの丸暗記だけでなく、高い英文解釈(S, V, O, Cなどを正しく把握して、それを活かして英文を理解すること)の力が求められていることが分かります。
第3問:読解(要約文の完成,同意表現,内容説明)
いわゆる総合的な長文問題です。
要約文の完成
空所を補充して要約を作ることが定着してきました。
「筆者は( ① )・( ② )・( ③ )・( ④ )という理由で〜だと主張している」という英文があって、12個の選択肢の中から適切な4つを選ぶ問題です。
このような形式のため、最近の英文は【導入→話題①→話題②→話題③→話題④→まとめ】のような6段落構成であることが増えてきています。
「要約なのでなんとなく読めればOK」と思ってしまう人がいるかもしれません。
確かに長文そのものは、それでも良い部分もあるかもしれませんが、しかし選択肢の英文は、しっかりじっくり読んでください。
2024年の入試問題では『乗用車の使用を減らそう(なくそう)』という主張で英文が書かれていました。
筆者がそのように主張する根拠の2つ目として
「(運転者や同乗者の死亡者は減っているが、その一方で)亡くなってしまう歩行者の数が増えている」
というものがありました。
そして、選択肢の中には、「歩行者の数が増えている」というものもあり、試験会場での緊張感も相まって、これに引っかかってしまった生徒も多かったようです。
※ 正解となる選択肢は「歩行者が亡くなることが増えている」。
せっかく理解できたはずの英文も、選択肢に引っかかってしまうのはもったいないので、最後まで気を抜かないように得点していけるようにしましょう。
同意表現
長文中の表現に下線が引いてあって、それと同じような表現を選ぶ問題です。
基本的には
1. 英熟語の知識で予想を立てる
2. それをもとに、文脈に合うような選択肢を探す
という手順でクリアできると思います。
たとえば、Reading expands vocabulary, regardless of age. という文があったとします。(実際に出題された文の一部を改変しています)
regardless of ~ 「〜に関係なく / 〜にかかわらず」という表現は、『Vintage』のp.456の1277にも登場しています。
※ 1277は超頻出問題に指定されています。
age「年齢、年」は、『ターゲット1400』のp.36の72に掲載されています。
他にも『Bricks ①』や『Stock 3000』など、高校1年生の最初に配られる単語帳に掲載されている英単語です。
では、regardless of ageは「年齢に関係なく、年齢にかかわらず」という意味になりそうです。
選択肢を見てみると
1. no matter how old the person is
「その人が何歳であっても」「その人の年齢に関係なく」
が正解でしょう。
2. depending on how old the person is 「その人が何歳かによって」、3. if the person is old enough「もしその人が十分に年をとっていれば」、4. unless the person is young「その人が若くない限り」の3つは、どれも年齢にこだわっている表現ですね。
実際、本文を見てみると、この段落は「小学生が読書で語彙を増やせる」「大人だって同じ(職場で役に立つ)」と2つのエピソードにつながるため、この解釈で正しいようです。
curled upなどは、知らない受験生の方が多いように思いますが、「最後にソファにcurled upして読書したのはいつ?」という文の中なので、「座る」という意味なんだろうと推測できればOKです。
このように、「絶対に知らない表現を、論理を使ってゴリゴリ推測していきなさい!」というタイプの問題ではなく、「しっかり勉強してきた生徒(英検2級や準1級に受かるくらい勉強してきた生徒)だったら知っているだろうし、知らなくてもヒントはあるよ」という優しさでできた問題に感じます。
内容説明
長文中の表現に下線が引いてあって、それと同じような表現を選ぶ問題です。
これは最後まで頑張った人へのサービス問題ですね
「要約」で全体の話の流れを確認し、「同意表現」でその段落の内容を確認する。
そして、その過程でしっかり読んだであろう箇所を中心に出題されています。
第4問:読解(誤り指摘・訂正)
誤りを指摘して訂正を求める問題は以前から出題されていましたが、今回から形式が変わりました。
300words弱の文章が与えられ、その中に14箇所に下線が引かれ、そのうち6箇所に誤りが含まれています。
1番多いのは、以前のパターンのときから頻出だった「適切な分詞に書き換える」ものでした。
これは分詞の知識が必要になるのはもちろんですが、
□ 主語と述語が把握できている
□ 主語や直前の名詞(目的語など)との関係が把握できている
というように、結局、また英文解釈・構文の力に行き着きます。
「英文を先頭から読んでいくと、ここまでS, V, Oはあったから、ここに新しく動詞が出てくることはない…」
「ってことは、形容詞か副詞のカタマリになっていて欲しい…」
「Sが【する/される】ことじゃないから分詞構文(副詞)ではなさそう、ってことはO(名詞)を修飾する分詞か…」
「今回はOが【される】ことだから、過去分詞だな!」
文にすると長くなっていますが、こういうことを考えながら誤り指摘・訂正をしていくことになります。
こういう読み方ができていると、分詞の問題だけでなく、もう1つの頻出項目である「単数形か複数形か」という問題にも対応できるようになってきていると思いますし、そもそも長文読解の力がかなり向上しているはずです。
西南学院大学(英語)対策にオススメの参考書・問題集
ここからは、上記を踏まえて、オススメの参考書や問題集をご紹介していきます。
実際には、今の模試の得点や、併願校の状況などにもよるので、細かい調整は自分で考えてみたり信頼する先生に尋ねてみてください
<英単語・英熟語>
英単語
基本的には、学校で指定されている英単語帳、英熟語帳を「完璧に」仕上げていきましょう。
「完璧」とは、頭ではなく脊髄で覚えているような状態です。頑張ったら思い出せる、ではなく、自然と意味を思い出せるまで繰り返し挑戦しましょう。
dogと聞いて「なんだっけ? 犬か! 犬ってあの動物だよね」となる人と、「dogってあの動物だよね」となる人では、英文を読む速さも違いますし、そもそも内容に集中できる度合いも違います。
高校3年生がこの記事を読んでくれている場合、新しい単語帳を買おうとしたり、今、学校で使っているものを覚えようとしたりしてくれます。
しかし、念のため、高校1年生のときに使っていた単語帳を見返してみてください。
思った以上に忘れてしまっていると思います。
「高1・2レベルの単語帳を反射で答えられるようにする」→「高3レベルの単語帳を覚える」の流れで確認していきましょう。
『ターゲット』シリーズでたとえると、じつは『1200』と『1400』を覚えていると、ほとんど対応できるようになっています。
逆に『1900』は、最初のセクション(700単語)は西南の長文でも登場しますが、それ以降のセクションはあまり出てきません。
なので、たとえば『1200』と『1400』の復習を早急に行い、『1900』はセクション1までは本気で覚えて、あとは学校で行われる小テストに合格できるくらいの勉強だけしておいて「見たことある」単語を増やしていきます。
『Stock 3000 / 4500』 や 『Bricks 1 / 2』などのシリーズも、同じような考え方ができますね。
『システム英単語』にもハイレベルな英単語が多く載っているため、取り組み方は調整しても良いかもしれません。
英熟語
英熟語は『Vintage』や『Scramble』、『Bright Stage』の英熟語のセクションを活用しましょう。
ただ、理想的としては、
□ まる暗記ゼロのイディオムマスター(河合出版)
を一通りやっていたり、
□ ターゲット英熟語1000(旺文社)
□ システム英熟語(駿台文庫)
の最初の方(最重要なもの)だけでも勉強しておくと安心です。
英単語・英熟語の番外編
「英語4技能利用型」のことを考えて、英検を受ける人も少なくないと思います。英検のCSEスコアが2300や2600を超えていると加点もされますね。
(たとえばCSEスコアの2300は、英検の準1級に合格するか、英検2級に余裕を持って合格することで達成できます。)
レベル感、そして単語と熟語を同時に整理できる点でも、
□ テーマ別 文で覚える単熟語 英検2級
□ テーマ別 文で覚える単熟語 英検準2級
などを、仕上げ用として使うのもオススメです。
<英文法>
これも、基本的には学校で指定されている問題集に取り組みましょう。
『Vintage』や『Next Stage』、『Scramble』ならば十分に対応可能です。
『Bright Stage』の場合は、「もう一声」欲しいところですね。
(福大の英文法には十分に対応しています)
全部が完璧になっていると良いのですが、たとえば
1周目:基本問題と超重要問題だけを解く
2周目:全部解く
のように、メリハリをつけても良いでしょう。
分厚い問題集をする時間がない、という人は
□ 英文法ポラリス1(標準編)
□ 全レベル問題集 英文法 レベル3、4
などに集中して取り組みましょう。
そして、最後の仕上げは
□ 英文法 ファイナル演習ポラリス1(標準編)
です。
西南学院大学では今年の出題はなかったものの整序英作文だけでも50問ありますし、なかなか問題集での対策が難しい正誤判定の問題など、いろんな出題形式を、実際の入試問題(大問まるごと)で練習することができます。
古くからある『英文法ファイナル問題集 標準編』もオススメです。
<英文解釈>
先述の通り、山場の1つです。
この英文解釈をヌルい気持ちで取り組んでしまうことは、「カップ麺にヌルいお湯を注ぐ」くらい「やったらマズイこと」です。
音読と合わせて、これが出来るようになることで、よく分からなかった英文もなんとか理解できるようになっていきます。
「英文を読むときにSとかVとか考えたこともない」という人や「共通テスト形式の模試だと40点に届かない」という場合には、
□ 英文法 基礎10題ドリル
□ 英文読解入門 基本はここだ!
□ 動画でわかる英文法[読解入門編]
からスタートしてください。
ただし、夏のこの時点でその状況だと、かなり差し迫っているので、一気に仕上げてしまいましょう。
英文解釈の大本命は
□ 入門英文問題精講
です!
このシリーズは難しい問題も多く、「入門」レベルでも多くの私立大学に対応できますし、「基礎」レベルでほぼ全ての大学に対応し、「標準」レベルともなると一握りの受験生しか対応できないくらい難しくなります。
難しく感じるかもしれませんが、ぜひ挑戦してみましょう。
詳しい使い方は、こちらでご確認ください。
参考書の使い方【入門英文問題精講 編】
他にも、
□ 入門 英文解釈の技術70
などがあります。
これに真正面から取り組んで、何度も何度も音読をすれば、西南の入試問題が読めるし、空所に何を埋めるべきかが分かるようになっていきます。
<長文読解>
ここまでやれた人なら、すでに随分読めるようになっていると思います。最後に
□ The Rules 英語長文問題集 1 入試基礎
□ The Rules 英語長文問題集 2 入試標準
□ 英語長文ポラリス 1 標準レベル
を読んで仕上げていきましょう。
コレが終われば過去問です。
ワンランク上の力を!
今日は、西南学院大学の英語について見てきました。
近くにあるため、よく「福大・西南」とまとめて呼ばれることの多い大学ですが、英語の入試問題に関して言えば、完全に西南の方がワンランク上です。
いろんな形式の問題はありますが、最重要なのは「英文解釈」でした。
この力があれば、関西や関東の私立大学、あるいは和訳の問題が課されるような国公立大学でも十分に基礎固めができていることになります!
いろんな参考書や問題集が出てきて、そんなにやっていけるだろうかと思って人もいるかもしれません。
もちろん、成績や状況を考えれば、飛ばしても大丈夫なものもあるでしょう。
ただ、1人では挫けそうになることでも、周りにも同じ志望校の友だちがいたり、引っ張ってくれる存在があれば乗り越えられます。
「なんとか切り抜けられるかも…」という気持ちではなく、
「これだけの量にしっかり真っ直ぐ取り組んだんだ」「きっと大丈夫!」と思って入試に迎えるように、今日もまた1つ、積み重ねていきましょう。
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生徒それぞれの目標に対し、現状把握・分析から最短距離で合格するためのカリキュラムとスケジュールを作成し、進捗をしっかり管理することで合格力を高めます。
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