理科を勉強する上で、重要なことは日常の中に隠れている身近な現象を理解することです。だからこそ、自然や普段と異なる環境に出向き、勉強する機会を与えてあげることも親としては重要なことです。小学生や中学生にとって、旅行とは、楽しい遊び場であると同時に、最高の学び場でもあります。この機会に、小学生や中学生の理科力を実体験を通して楽しく、上げていきましょう。

今回は、夏という季節に絞って、日常から学ぶことのできる理科の勉強のコツについてご紹介いたします。

理科の先生が教える勉強法!暗記のコツ!

理科は暗記教科であるとよく言われます。確かに理科には暗記教科の側面がありますが、決して暗記だけではありません。例えば、電流の計算や実験の考察などの論述は、丸暗記だけでは対応できません。

理科の勉強法はシンプルです。日々の学習で、「暗記と思考」を繰り返していくことが近道となります。そして、「暗記と思考」を実践するコツは、普段の生活にて「子供に疑問を投げかけ考えさせること」です。小さな不思議や当たり前と思っている現象に「なぜ?」、「どうして?」と質問することで、子供に自然と知識と考える力が養われていきます。このことで、自然と暗記できるようになります。

理科の暗記のコツは、「子供に疑問を投げかけ考えさせること」!

夏の旅行は、理科を勉強するチャンス!

夏休みは祖父母の家への帰省やキャンプに海など様々な場所に行く機会が多くあります。自然や普段と異なる環境は子供にとって楽しい遊び場であると同時に、実体験を通して楽しく学ぶことの出来る最高の学び場でもあります。この機会を活用して、様々な体験から理科について無理なく勉強することができます。

その際のポイントは、「身の回りの出来事を扱うこと」です。オゾン層の破壊といった大きな出来事は確かに重要な話題であり学ぶ必要があることですが、必ずしも子供にとって興味関心を持つ話題ではありません。子供にとっても身近で分かりやすい内容から学習を進めることで、子供も理解がしやすく定着しやすくなります。

身の回りの出来事から分かりやすく学習を!

夏の現象4選!日常こそが参考書になる!

子供に理科を学ばせたいと思っても、なかなか話題は浮かばないものです。今回、夏の日常に見られる理科について4つをご紹介いたします。日常生活での場面に合わせて、子供に質問をし、会話の中で子供の知識と考える力を鍛えることができ、暗記の助けをしてくれます。

【身近な理科】セミはなぜ鳴くの?

夏の公園や森の近辺では、セミが「ミンミン」や「ジージー」と大きな声で鳴いているのを耳にします。セミが鳴く主な理由は求愛行動と言われています。実は鳴いているのはオスだけで、メスは鳴きません。オスは鳴くことによって自身の居場所をメスに知らせ、メスと出会うことを目的としています。一般に、セミは成虫になってから1ヶ月程度しか生きられません。子孫を残すために、「大きな声で鳴くこと」は重要な行為と言えます。

セミが鳴くのは求愛行動!

【身近な理科】打ち水の効果とは?

近年、暑さ対策やエアコンの代わりとなるため省エネルギー対策として、打ち水が再注目されています。例えば、東京都は東京2020オリンピック・パラリンピックにて暑さ対策に打ち水を推進しています。

打ち水をすると周りの温度が下がる理由を考えてみます。

水をはじめとするものには、液体から気体になるとき、つまり蒸発するときに、周りの熱を奪うという性質があります。夏の日差しで熱くなった地面に水をまくと、水は地面の熱を奪い蒸発します。このとき、地面の温度はもちろん、その周囲の空気の温度も下げるのです。

日常生活でも、首に濡れタオルを巻くと涼しかったり、風呂上がりに髪を乾かさずに寒くなったりした経験があると思います。これらの現象も打ち水と同じく、水が蒸発するときに周囲の熱を奪うからです。

打ち水で周りが冷たくなるのは、水が蒸発するときに周囲の熱を奪うから!

【身近な理科】雷までの距離は?

雷がピカッと光ってからドーンと音がするまでには何秒かのタイムラグがあります。これは光の速さが秒速30万kmととても速くほぼ一瞬で伝わるのに対し、音の速さは秒速340m程度と光の速さに比べて遅いために伝わるまでに数秒の時間が掛かるためです。

実は、このタイムラグを測ることで、雷が自分のいる位置からどれだけ離れた位置に落ちたのかを計算することができます。例えば、雷が光ってから3秒後に音が聞こえたら、340×3=1020m程度離れた位置に雷が落ちたと考えられます。雷がなったら、子供の計算力を鍛えるチャンスでもあるのです。

雷が光ってから音がする秒数から、雷が落ちた場所までの距離を計算可能

【身近な理科】なぜ、夏に影が短くなるの?

夏は、他の季節と比べて、影が短くなります。これは、夏が一年で最も太陽の高度が高く、真上から太陽に照らされるため、影の長さが短くなるからです。これに対し、冬は一年で最も太陽の高度が低く、斜めから太陽に照らされるため、影の長さが長くなります。このような、太陽の高度の変化は、実は、地球が傾いた地軸を中心に自転していることと地球が太陽の周りを公転していることの2つに関係しています。

もし、子供が天体の運動に興味を持ったらチャンスです。地球の1日の動き、1年の動きについて一緒に調べてみると、子供の知識は増えていきます。

夏に影が短くなるのは、太陽の高度が高いから!

質問に答えず、調べ学習を促す!

子供は1つ疑問に思うと、関連した内容について「あれはなぜ?」、「それはどうして?」と次々と質問をしてくることがあります。その中で、大人でも知らないことがあるときの対処法、コツを紹介します。

最ももったいないのは「それは知らなくて良い」とそこで話題を終わらせてしまうことです。せっかくの知識が増えるチャンスを捨てることになります。そんなときは、本やインターネットでの調べたり、子供と一緒に現地に行くと良いです。予想と反する答えが見つかり、保護者も知的好奇心がくすぐられるかもしれません。

子供の質問で答えられないときは、子供と一緒に調べ学習!

理科の勉強のコツは、身の回りのなぜ!?

暗記科目と言われる理科ですが、ただの丸暗記では入試問題に対応できません。そして、それだけではなく、問題を解くという過程から、記述をする、自分の意見を述べる、研究、開発をするというようにステップアップしていく人にとって、丸暗記というものはむしろ弊害にさえなり得ます。高校生になって、物理や化学、生物といった専門科目で苦戦している人も丸暗記で乗り切ってきた人に多く見られます。

1つ1つの身の回りの現象のなぜか、理由を考えていく習慣こそが理科を知る上で重要なことです。正しい勉強法が子供達の未来を良いものとしていきます。再度、理科の勉強法を確認するといいと思います。

投稿者プロフィール

山﨑 翔平
山﨑 翔平
個別指導の古賀塾の塾長。医学部予備校「メディカルラボ」、Z会グループ「アオイゼミ」などで講師経験と東進衛星予備校の校長としての教務経験をもっています。
入試問題の作成や模擬試験の作成、参考書やタブレット教材などの教材作成やマイナビ「中学受験受験ナビ」https://katekyo.mynavi.jp/juken/ などでの連載も行っています。
担当した子ども達に「しっかりと寄り添って自立させる」をモットーに親身になって指導をする先生です。