九大で行われた入試問題の中から、1題を取り上げて解説を行います。

今回は、2024年度・英語・第3問(1)

九大英語の勉強法全体は、こちらの記事を参考にしてください。

九州大学合格のための英語勉強法

こんにちは!古賀塾で英語を担当している山下です。 今回は、古賀塾のノウハウのうち、九州大学の2次試験における英語に向けた内容をお伝えします。  数学の勉強法はこち…

問. 次の文を日本語に訳しなさい。

For example, in January 2022, a dust storm covering nearly twice the area of the United States led to some of NASA's exploration equipment on Mars having to be powered down until the storm passed.


実際の問題では、上記の部分に下線がほどこされた、下線部和訳の問題でした。

全部で6行ある第1段落の、後半3行すべてにあたります。

前半の3行では、要するに「火星では、とても大きい砂嵐が発生する」という話が行われています。

解説

問題文を改めて見てみましょう。

For example, in January 2022, a dust storm covering nearly twice the area of the United States led to some of NASA's exploration equipment on Mars having to be powered down until the storm passed.

部分訳を作って(意味のかたまりごとに日本語に訳して)、最後に整えてみましょう。

For example, in January 2022,

ここから具体例が始まります。
何の具体例なのか、どんなテーマ・主題に関連付けていくのかを確認しましょう。

時期が書いてあるので、その時期に起きた事例に話が進みます。

a dust storm covering nearly twice area of the United States

今回の和訳のポイント1つ目は、ここのcoveringです。

名詞の直後に -ingの形が来ていますので、-ingは「動名詞または分詞」で、a dust stormはその「動名詞または分詞」の主語だと考えます。

つまり、次の2つの可能性を考えることになります。

 動名詞と考えて
 「砂嵐が、アメリカ合衆国の面積の約2倍を覆うこと は/が

 分詞(分詞構文)と考えて
 「砂嵐が、アメリカ合衆国の面積の約2倍を覆うので / 覆って / 覆うと」

この判断は、the United Statesのうしろまで保留することになります。

直後に動詞がきていれば、そこまでの意味のかたまりは主語だと考えられるので動名詞。

直後にさらに名詞が続いていれば、その名詞が主語、そこまでの意味のかたまりは副詞だと考えられるので分詞(分詞構文)。

1発で正解できることよりも、読み方を仮定し、適切なタイミングで正しく判断あるいは修正をできることが、英文解釈の力です。

led to some of NASA's exploration equipment on Mars having to be powered down until the storm passed.

led(leadの過去形)が出てきましたね。

形だけで見れば過去分詞かもしれませんが、その場合、直前のthe United Statesを修飾していることになります。

するとNASAと関係があるアメリカと、NASAと関係がないアメリカが存在することを示唆してしまうので、これはないでしょう。

ということで、ledは過去形でこの文の述語動詞、その直前までは主語、つまりcoveringは動名詞だったことが確定します。

led to ~:〜につながった

some of NASA's exploration equipment / on Mars:火星にある/いくつかのNASAの探査装置

まで読むと、次のポイント、havingが見えてきます。

結論から言えば、ここに分詞の-ingが入り込むこと(→ 分詞構文の挿入 や Marsを修飾する)は考えにくいため、動名詞だと判断します。

ここは、

  • have to V(Vしなければならない)のhaveの部分が-ingになった
  • some ~ on Mars は 動名詞の主語

ということになります。

having to be powered down:電源を切られなければならない

until the storm passed:その砂嵐が過ぎ去るまで

精査する

意味を理解するのは、上記までで十分ですが、今回の問題の要求は「日本語に訳すこと」です。

  • 副詞:たとえば、2022年の1月には
  • 主語:砂嵐が、アメリカ合衆国の面積の約2倍を覆うこと は/が
  • 述語:〜に繋がった
  • 目的語:火星にあるいくつかのNASAの探査装置の電源が切られなければならないこと
  • 副詞:砂嵐が過ぎるまで

細かいところを外して考えると

 V1-ing led to V2-ing

のように「動名詞1が動名詞2に繋がった」という形になっています。

これは、そのまま訳すよりも、いわゆる無生物主語の構文として「V1することによって(V1したことが原因で)、V2することになった」のように、因果関係を示せると良いでしょう。

また、目的語の「電源が切られなければならない」というように、助動詞(have to)+ 受動態 の形になっているものは、そのまま日本語にするとややこしくなってしまうため、能動態のように「電源を切らなければならない」とした方が自然になります。

部分訳をつなげる

これらをまとめると

「たとえば、2022年の1月、アメリカ合衆国の面積の約2倍を覆う砂嵐のせいで、その砂嵐が過ぎ去るまで、火星にあるNASAの探査装置の一部の電源を切らなければならなかった。」

となります。

まとめ

いかがだったでしょうか?

なんとなく意味をとることだけを考えれば、それほど複雑な構文ではありませんが、細かい失点を防ぎ確実に得点していくためには、このくらいのことを考えながら素早く処理をする必要があります。

これができるようになるには、
 そもそもそのような考え方があること(構文・英文解釈)を学び、
 音読を含めて何度も何度も繰り返して自分でも説明できるようにし、
 いろんな英文で試してみる(精読・多読)
ことが必要です。

学びエイドなどの映像授業や参考書をうまく使って体系的に先取りしていき、市販の問題集だけでなく学校で扱う英文も精読・多読用の教材として使えるようになることが理想です。

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投稿者プロフィール

山下 拓海
山下 拓海
生徒それぞれの目標に対し、現状把握・分析から最短距離で合格するためのカリキュラムとスケジュールを作成し、進捗をしっかり管理することで合格力を高めます。
大学在学中から塾講師として指導に携わる中で、生徒の成績をアップさせることに魅了されました。東進衛星予備校の校長としての教務も経験しております。
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