「時計算」は、速さの問題の1つで、中学受験に出題される文章題の頻出テーマの一つです。時計の長針と短針が作る角度を使った問題です。中学入試では、長針と短針の作る角度を求める問題や、逆に角度から時刻を求めさせる問題などが出題されます。

このテーマは、計算をするとかなりの確率で分数(分母11)の答えが出てくるので、立式で難しかったりするため、苦手な生徒も多いテーマの1つです。
「時計算」は、速さの問題の特殊な例の1つで、他に「通過算」「流水算」があります。今回は「時計算」を通して、速さの基礎の確認を行いながら、パターン別に解説を行っていきたいと思います。

ご家庭で「時計算」をお子さんに教える際に、教え方が分からないと困っている方もいると思います。

今回は、基本的な部分の指導を得意とする「古賀塾」の先生、日本数学検定協会認定 数学コーチャー西野が、「時計算」の教え方についてまとめます。

時計算の基本の3パターン

 それでは以下の3つのパターンを考えてみましょう。同じようにお子さんに教えてもらえたらいいです。特に、数式だけで理解させるのではなく、方程式のやり方をかみ砕く形での解法となりますので、「型」を覚えてほしいと思います。

  【解法1】長針と短針が重なるとき
  【解法2】特定した角度になるときの時刻
  【解法3】指定された角度の時刻(2つ)

【時計算の解法1】

 時計算の解法の手順を整理します。

【ポイント】
  長針は 360°÷60分=6°  1分間で6°ずつ進みます。
  短針は 30°÷60分=0.5°   1分間で0.5°ずつ進みます。
  したがって、1分間で長針は短針に6°-0.5°=5.5°ずつ近づきます。


手順① 長針と短針が重なるときを考えます。

 長針が短針と重なるとき、つまり長針が短針に追いつくときなので、5時の時の長針と短針の差を、長針が追いつくことになります。

 5時の時の長針と短針の差 → 30°×5=150°


手順② 長針が短針と重なる時刻を求めます。

 150°の差を1分間で5.5°で追いつくことになるので、
 150°÷5.5                     ÷5.5の計算はすぐに分数に直して計算をしましょう。
 =150÷11/2  
 =150×2/11 = 27 3/11  分後
 5時27 3/11  分 ・・・(答)

※答えが出た後は、問題に合っているか確認をすることを忘れないようにしましょう。

【時計算の解法2】

【ポイント】
  長針は 360°÷60分=6°  1分間で6°ずつ進みます。
  短針は 30°÷60分=0.5°   1分間で0.5°ずつ進みます。
  したがって、1分間で長針は短針に6°-0.5°=5.5°ずつ近づきます。


手順① 長針と短針が一直線(180°)となるときを考えます。

 8時のときの長針と短針の角度の差は 30°×8=240°
 長針と短針のさす角度が180°になる
 →長針と短針が240°-180°=60°近づく


手順② 長針と短針が一直線(180°)になる時刻を求めます。

 60°を長針が1分間で5.5°で追いつくことになるので、
 60°÷5.5          ÷5.5の計算はすぐに分数に直して計算をしましょう。
 =60÷11/2  
 =60×2/11  
 = 10 10/11  分後
  8時10 10/11  分 ・・・(答)

※答えが出た後は、問題に合っているか確認をすることを忘れないようにしましょう。

【時計算の解法3】

【ポイント】
 60°になる時刻は2回あることに注意しましょう。
 4時の状態(短針が長針より先にある状態)から考えて、
 ⑴ 短針ー長針 
 ⑵ 長針ー短針(長針が短針を追い抜いた後) の2回あります。


手順① 最初に60°になるときを考えます。

  短針ー長針(長針が短針を追い越す前)
  4時のときは、30°×4=120°の角度があるので、120°ー60°=60°だけ近づきます。
  1分間で長針は短針に 6-0.5=5.5°ずつ近づくので、
  60°÷5.5
 =60÷11/2  
 =60×2/11  
 =10 10/11  分
  4時10 10/11  分 ・・・(答)


手順② 2回目に60°になるときを考えます。

  長針ー短針(長針が短針を追い越した後)
  長針が短針に追いついた後、(120°の差を追いついた)、60°の差をつける、
  つまり、120°+60°=180° 分だけ長針が動くことになるので、 

  180°÷5.5
 =180÷11/2  
 =180×2/11  
 = 32 8/11  分
  4時32 8/11  分 ・・・(答)

※答えが出た後は、問題に合っているか確認をすることを忘れないようにしましょう。

時計算の教え方のまとめ

時計算の問題を解く際には、はじめに長針と短針の1分間に進む角度を図で見て覚えておくことが大事になります。その際に短針の動く速さが「分速0.5°」であるために、問題を解くときに計算した答えに分数が出てくることがほとんどになります。(分母11)

ここで分数の計算が苦手な人は、分数のかけ算・わり算の復習をしておきましょう。小数を分数に直しての計算ばかりになりますので、注意しておきましょう。また、時計の針の動きがわからないと、複雑な問題のとき、どうやって解けばよいのかわからなくなってしまうので、長針も短針も同じ方向に進むから、それぞれの進む角度の引き算をするということを覚えておきましょう。

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投稿者プロフィール

山下 拓海
山下 拓海
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大学在学中から塾講師として指導に携わる中で、生徒の成績をアップさせることに魅了されました。東進衛星予備校の校長としての教務も経験しております。
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