個別指導の古賀塾の山﨑です。
受験勉強をしていると、ケアレスミスのせいで、数学の点数、偏差値、成績を伸ばすことができていない人もいると思います。英語や国語、社会などでケアレスミスすることは多くないイメージはあるものの、数学や物理ではミスしがちじゃないでしょうか。
大学入試の問題は、標準的な問題と難しい問題が混ざっています。
多くの大学で5~7割正答できるといいので、標準的な問題を確実に解くことが効率良く合格する方法ということも言えます。
これは東京大学でも例外ではありません。全ての大問が難しいのではなく、標準的な問題もあるので、これらを確実に取ることが大事です。
しかし、ケアレスミス・計算ミスをしてしまうと標準的な問題ですら正答できないことになるので、これらのミスが致命傷になりかねません。
今回は、ケアレスミス・計算ミスを減らす方法を紹介します。
これらをまだ実践していない人は必見です。必ず点数が上がりますよ。
入試問題を的中させるのは難しいですが、ケアレスミスを減らすのは簡単です。
ただ、すぐに減る人もいれば、1年近くケアレスミスを無くすのに時間が必要な人もいます。努力していきましょう。
ケアレスミスってそもそも何か
ケアレスミスの定義は、「注意不足による間違い」だと認識してください。
真数条件の確認抜けなどもケアレスミスに入ります。
「ケアレスミスを無くす=計算ミスを無くす」ことだと思っていると、無駄な失点が減っていきません。
つまり、ミスなのか、注意不足なのかに分けて考えることが大事だと思っています。
今回は、これら2つのミスを区別していきます。
ケアレスミスの無くし方
まずは、ケアレスミス、つまり、ミスはしていけはいけない所で間違えてしまい、失点しているケースについてまとめます。
テスト中のケアレスミスを無くすためにはどんなことを普段から注意していればいいのか具体例を上げていきます。見直しをする際の参考にもしてください。
答えを代入して検算
計算して求めて出た答えを元の式に代入して成立しているかチェックできるときは、検算しましょう。
例えば、方程式の計算を行った場合は、解を求めます。
これを与えられた式に代入して、等号が成立しないと、計算ミスをしていることになります。このように確実にチェックできる場合は検算を忘れないように行いましょう
逆操作の計算では検算
数学では逆操作の計算が多く出てきます。
例えば、「整式の展開と因数分解」です。
数学を学習していれば、展開と因数分解は知っていると思います。
因数分解は、展開の逆操作です。
では、展開と因数分解ではどちらの方が計算のレベルが高いと言えるでしょうか。
言うまでもなく、因数分解の方が難しいですよね。
つまり、因数分解の方が計算ミスが起きる可能性が高い。因数分解をした後に、展開をし(実際に書くほどではなくても良い)、元の式と一致するか確認しましょう。
この時、それぞれの項の係数だけに着目すると比較的楽に検算できますよ。
他の例では、部分分数分解なども逆操作です。
通分の逆操作なので、これも通分してみると確認できます。平方完成も逆操作ですね。
最もミスの多いのが、積分計算です。
これも微分の逆操作ですので、自分が正しいと思った結果を実際に微分してみて、元の式と一致するのか確認しましょう。
積分に関しては、全く惜しくない計算をしている人もいますので、是非確認してください。
ケアレスミスノートで備忘録
逆操作の計算の例にも上げましたが、ミスは人により異なります。しかも、無意識に変な計算をしてしまうこともあります。もちろん、冷静に考えたらあり得ないことでも、癖になってしまっている計算ミスもあります。
例えば、
\(\displaystyle\frac{1}{x}=\frac{1}{2}+\frac{1}{2x}\)
とある式を、
\(x=2+2x\)
と式変形したり、雰囲気で逆数?にしてしまうミスです。
こんなミスしないだろうと思うかもしれませんが、する人はするんです。
これはもう癖になってしまっているので、意識しないとまた何度もミスをします。
そういうミスをしてしまった後が重要です。
必ず、備忘録を作りましょう。手帳でも日記でも構いません。常に気にしながら計算をしていくために、毎日見るものにメモをしておきましょう。
数字や文字を丁寧に書く
数字や文字の読み間違いをしないように丁寧に書きましょう。
実際に自分の字が汚いことで、読み間違いをしている生徒を何人も見ました。
例えば、「6」と「0」の読み間違いは非常に多いです。
計算スピードを気にしてしまい、書くスピードも早くなってしまう気持ちは非常に理解できますが、ミスをすると、結果的にミスを探す時間が必要になってしまい、解くのが遅くなることもあります。
字は丁寧に書くようにしましょう。
途中式はできる限り省略しないで書く
途中式は見直しをする時に、負担が少ないようにすることを意識しましょう。
問題を解いている時のミスを減らすこともそうですが、解いた後の見直しをスムーズに行うことができるようにしておくことも計算ミスを減らすための重要な視点です。
ミスをしないことも大事ですが、ミスに気付く時間を短くすることができれば、結果としては丸になるので、問題ありません。この視点も持つようにしましょう。
計算する余白をつくり、数式は整理して書く
答案を書く所と計算するところを区別することで、ミスを減らすことができます。
答案を書く時は、ノートのスペースや答案用紙のスペースなどを気にしているからか、途中式を書かない、あるいは、狭いスペースで無理矢理計算をする生徒を見かけます。
記述する時は、余分な計算を答案に書く必要はありません。
しかし、計算する際には途中式は丁寧に書くべきです。
したがって、普段は計算スペースを作ってそこに見やすく計算するようにしてはいかがでしょうか。計算用紙をノートとは別に用意しておくことも有効です。
計算は「横に長く」より「縦に深く」
計算を部分的に取り出し、計算することも有効です。
計算が長くなることは数Ⅲ分野では良くあります。こういう場合は、一気に計算するのではなく、抜き出して計算することで計算ミスを減らすことができます。
姿勢を正して勉強する
良い姿勢で計算するようにしましょう。
姿勢を良くすることで、注意持続力が向上することが、脳科学で知られています。
また、背筋を正すと、脳を覚醒させるホルモンが出て、脳の一時的な記憶機能であるワーキングメモリの働きが増し、処理能力が向上すると言われています。
ワーキングメモリの働きが弱いと、文章を読むときに初めの方の話を覚えておらず、文が理解できないということもあります。
できるだけ計算の少ない解法を選ぶようにする
工夫した計算や解法を選べるように訓練しましょう。
数学では、1つの問題を解く方法はいくつもあります。
計算量が少ない解法を選択できるとそれだけ計算ミスを減らすことができます。
これができるようになるには、計算の工夫方法や解法を知るためにたくさん勉強しないといけませんが、意識するだけでも変わりますので、頑張りましょう。
有歌詞の音楽を聴きながら計算をしない
集中できる環境で計算をすることが重要です。
意味の理解できる歌詞の音楽を聴きながらの勉強は、集中力などを低下させることが知られています。ただし、クラシック音楽などの音楽を聴きながらの勉強は効果的です。
よくあるケアレスミス
講師業をしている時、よく見かけるケアレスミス(計算ミスを除く)を紹介します。
<h3>真数条件を始めとする定義域を確認していない
真数条件を確認することは、よく注意するように普段から言われているので、意外にミスをする人が少ないかもしれません。これは、耳にタコ状態なほどに意識させられているからですよね。同じように対数が絡んでいなくても、常に定義域は確認しましょう。例えば、分数式。分母が0になることはないにも関わらず、分母が0になってしまうときの値も定義域に含めてしまっている。
例 \(\displaystyle y=\frac{1}{x-1}の定義域 は、x≠1\)
<h3>不等式の両辺を2乗してしまう
\(4>3では、4^2>3^2のように2乗しても大小関係は変わりません。\)
\(-3>-4では、(-3)^2<(-4)^2のように2乗すると大小関係が逆になります。\)
同符号であれば、一般的にこれらのことは言えます。
しかし、次の例ではどうでしょうか。
\(4>-3のときは2乗しても、4^2>(-3)^2のように大小関係は変わりませんが、
3>-4であれば、3^2<(-4)^2となり、2乗すると大小関係が逆になります。\)
つまり、異符号の時は計算が大変になります。
\(√x>x-2 の両辺を2乗する際にこのことが問題になります。\)
√xがあるので、2乗したいところですが、左辺は正ですが、右辺は負になる可能性もあります。つまり、異符号を2乗することになるため、ミスが起きやすい計算となります。
置換後の定義域を無視してしまう
これは上でも述べた定義域を確認していないミスになりますが、置換時に良く確認していない人が多いのでチェックしましょう。
例1
\( y=(x+2)^2+(x+2)+4 の最小値を求めよ。\)
\(x+2=t とおく\)
例2
\( y=(x^2+2x)^2+(x^2+2x)+4 の最小値を求めよ。\)
\(x^2+2x=t とおく\)
\(これらの2例とも置換をして、2次関数に変換していますが、置き換えたのt\)の範囲はどうなっていますか、
例1の場合は、実数全体であるのに対して、\(例2は t≧₋1となっています\)
0で割っている可能性があるのに割ってしまう
早速ですが、次の方程式の式変形を見てみましょう。
例
\( ax=4 \)
\(\displaystyle x=\frac{4}{a} \)
いかがでしょう。間違いに気付きましたか?
意識しないとこの間違いを平気でやってしまう人がいます。
\(もちろん、a=0の可能性があるから、a≠0のときとa=0のときとで場合分けをしましょう。\)
\(※ a=0のときは成立しないから、普通に割れると考えてくれた人はワンランク上です。\)
注意するべきところ、見直すべき所は人によって異なってきます。だからこそ、ミスをしてしまった時に答案を見て、振り返りを行うことが重要となってきます。
計算ミスはしてしまうもの、大事なことはその後にどうするか
ケアレスミスについては、注意不足によるミスなのでしてはいけませんが、計算ミスはしてしまうものだと思います。ただし、減らすことはできます。例えば、計算が正しくできているか途中式を確認する際に、目だけで確認してしまっていると、ミスしている際に気付けません。計算の過程を、頭でのみ確認するのではなく、部分的にでも手を動かすことで見つけやすくなります。また、字を大きく書く、きれいに書くことでミスをしにくくなります。
答え合わせの際に、自分の答案の間違いを探す
やり直しの際は、必ず自分の間違いを探すようにしましょう。
問題を解いた後や模試を終えた後にやるべきことは、やり直しです。やり直しの手順を確認します。
まずは、解答をチェックし、丸付けをします。その後、間違えた問題の解説を軽く読み方針が合っているかを確認します。合っている場合は、計算ミスかケアレスミスです。自分の答案を確認し、間違えた原因を探しましょう。間違えた原因というのは、ミスをした箇所を探すことはもちろんのこと、計算ミスによる仕方ない失点なのか、ケアレスミスによる間違えてはいけない失点なのか理由を明確にすることまでを言います。これらを繰り返すことで、失点はどんどん減っていきます。
ケアレスミスや計算ミスをなくす方法は努力の継続
ケアレスミスや計算ミスをしてしまう人は、悪い癖になっていると思ってください。
古賀塾では、毎日古賀先生が我々スタッフに向けて、メッセージを配信しています。
その一部を引用します。
なくて七癖あって四十八癖と言われていますが、やはり、人間には生きてれば、少なくても7つぐらいは癖があります。癖と言うので、あまり良くないものが多いですが、無害のものもあるでしょう。歳をとってくると、やはり、有害な癖がどうしても人生の邪魔をします。それを乗り越えられるかどうかは、そのことを意識して、直そうとしているかどうかにかかっています。私も当然ありますが、立場上、みなさんには色々と指摘をしています。きちんと受け止めて、意識して、改善してください。
ケアレスミス1つで大げさと思うかもしれませんが、冒頭に書いたように、合格するために一番楽な方法はケアレスミスや計算ミスをなくすことだと思っています。
本日より改善していきましょう。
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投稿者プロフィール
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個別指導の古賀塾の塾長。医学部予備校「メディカルラボ」、Z会グループ「アオイゼミ」などで講師経験と東進衛星予備校の校長としての教務経験をもっています。
入試問題の作成や模擬試験の作成、参考書やタブレット教材などの教材作成やマイナビ「中学受験受験ナビ」https://katekyo.mynavi.jp/juken/ などでの連載も行っています。
担当した子ども達に「しっかりと寄り添って自立させる」をモットーに親身になって指導をする先生です。
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