理系大学を受験する際、多くの大学で、英語・数学が必須で、理科を2科目選択します。その中でも、「化学・物理」あるいは「化学・生物」のどちらかを選択する受験生が多いと思います。

今回は、物理と生物のどっちを選択するのがいいのかメリットとデメリットおよび入学後の影響などをまとめていきます。

物理と生物の得点分布の特徴

様々な模試や入試の得点分布を調査したところ、生物と物理には以下のような得点分布の特徴があります。

  • 正答率50%以下の受験生は、生物選択者よりも物理選択者の方が多い
  • 正答率90%以上の受験生は、生物選択者よりも物理選択者の方が多い
  • 生徒率60%以上の受験生は、物理選択者よりも生物選択者の方が多い

これらのことから、「高得点を取ることができるのは、物理だが、同時に足を引っ張る科目になりやすいのも、物理である。逆に、生物は、稼ぐことはできないものの、足を引っ張る科目になりにくい科目である。」ということがわかります。

つまり、物理は点数にばらつきが出やすく、生物は点数が安定しやすいということですね。このことを念頭に置きつつも、実際、どんな人が、生物と物理のどっちを選択すればいいのか考えていきましょう。

物理と生物の選択法①得意な方や興味がある方にする

物理と生物のどちらの科目を選択するかで悩む人は多いかと思います。学校や塾でも、様々な理由から「生物を選択しなさい」「物理を選択しなさい」と指導、指示をされることがあります。

しかし、まずは自分自身のことをしっかり考えてみてください。中学時代に理科で、物理分野が得意だったならば物理を選択すれば良く、生物が好きで興味があるならば生物を選択するのが良いでしょう。やはりこの選択が一番間違うことが少ないです。改めて自分自身の得意な科目や好きな科目を考えてみてください。

このように、好きや得意で選べれば良いのですが、実際はそんなに差がないこともあるでしょう。また、選んだ後に「こっちにすればよかった」ということがないように、注意点を紹介していきます。

物理と生物の選択法②他の科目の得意・不得意から推測して選択する

物理と生物の得意不得意で決めることができない人は、他の科目の得意不得意から考えてみるのも良いでしょう。

物理を選択するといい人の特徴

物理を選択するといい人は以下のような特徴があります。

1.数学が得意

2.処理スピードが早い

3.文章題が得意

4.ミスが少ない

数学の文章題と物理は非常に似ています。数学と物理では、正しく文章を読み取り、図を描き、立式する能力が求められます。数学が得点源になっている人は、迷わず物理を選択すればいいと思います。きっと短い学習時間でもすぐに得点できるようになり、最終的には90%以上を得点するようになるでしょう。逆に数学が苦手な人は、物理で得点をすることが難しいと思います。ただ単純に公式を覚えて当てはめる、というだけで解ける科目ではないので注意してください。

生物を選択すると良い人の特徴

生物を選択するといい人は以下のような特徴があります。

1.国語が得意

2.文章を読むことに抵抗がない

3.小論文など記述することができる

4.美術が好き・絵が上手い・色分けがうまい

生物は物理と比べ暗記項目が多い科目です。また、数学的処理の問題よりも考察力・読解力・記述力を問われます。もちろん、読解力と記述力は物理でも必要な知識ですが、比較すると、生物ではより必要な力になると思ってください。

生物の勉強法として、「暗記」をすることが重要とよく言われます。もちろん、生物は覚えることが多いです。しかし、ただ「文字」として用語を暗記をするだけではなく、「図」や「写真」と共に覚えることをお薦めします。

図説と共に用語集を読み、自分で絵を描き、色を塗りながら用語集を読む。動画などを見ながら、用語集を読む。などの勉強方がおすすめです。絵のうまい人は、イメージ化させることが上手いので、すぐに覚えることができると思います。

生物を選択するメリットとしては、暗記量が多い分、勉強時間と得点が比例するので、ちゃんと勉強すれば、着実に点数が取れるようになります。

物理と生物の選択法③志望大学合格に向けて戦略的に科目選択をする

得意不得意な科目が特にない場合は、戦略的に物理と生物を選択するといいでしょう。これは、上で述べたように、

  • 正答率50%以下の受験生は、生物選択者よりも物理選択者の方が多い
  • 正答率90%以上の受験生は、生物選択者よりも物理選択者の方が多い
  • 生徒率60%以上の受験生は、物理選択者よりも生物選択者の方が多い

ことに留意します。例えば、合格最低点が65%である大学を志望していたとして、理科以外の科目で70%近く取れそうな場合は、生物を選択する。逆に、合格最低点が65%に対して、60%前後であれば、物理を選択することで、大逆転を狙っていく。数字だけで戦略を立てると、このような科目の選択方法もありだと思います。

「医学部であれば、どこでもいい。とにかく受かりたい。」このような人もいると思います。この場合、生物選択をおすすめします。理由は上記でも述べたように、点数が安定しやすい科目だからです。特に、受験する大学が多い場合は、点数が安定することは心強いことでしょう。

物理と生物の選択法④大学入学後のことを考えて選択する

例えば、医歯薬学部であれば、物理選択の受験生に比べて、受験生の方が入学後に楽だと思います。なぜなら、高校生物で勉強することは、入学後の勉強の前提知識となることが多いからです。特に、分子生物学などはほぼ高校生物の知識ですし、生理学や生化学などにおいても高校生物の知識が必要です。

しかし、入学後、受験で物理を選択した人のために、大学側が生物未修クラスを設置してくれることも多いです。まず合格することが第一かと思いますので、科目選択の際にはそこまで意識しなくても良いかと思いますが、化学と物理を選択して生物を選択しなかった人は、入学後に生物で大変になることは覚悟しておきましょう。

大学によっては選択科目に注意が必要

大学の学部によっては、物理が必須の大学もあれば、生物が必須の大学もあります。特に工学部や、農学部など医療系以外の学部を志望する場合は気をつけてください。

物理と生物の選択に困ったときには以上のようなことを考え選ぶようにしてみてください。

投稿者プロフィール

山﨑 翔平
山﨑 翔平
個別指導の古賀塾の塾長。医学部予備校「メディカルラボ」、Z会グループ「アオイゼミ」などで講師経験と東進衛星予備校の校長としての教務経験をもっています。
入試問題の作成や模擬試験の作成、参考書やタブレット教材などの教材作成やマイナビ「中学受験受験ナビ」https://katekyo.mynavi.jp/juken/ などでの連載も行っています。
担当した子ども達に「しっかりと寄り添って自立させる」をモットーに親身になって指導をする先生です。