今回は、多くの理系学生を苦しめる数学Ⅲを独学で、勉強する方法について、一からまとめていきます。
そもそも、数学Ⅲというのは、国公立大学を目指している人にとっては、非常に時間を掛けたくない科目です。
それは、多くの国公立大学は、共通テスト(旧 センター試験)で出願できるかどうかが決まるため、その勉強を優先しがちだからです。
共通テストでは、数学Ⅲの出題は無いので、共通テストの重要性を知れば知るほど、数学Ⅲの勉強に時間を掛けたくない。
その思いは、私も同じでした。
だからこそ、今回は、みなさんに数学Ⅲの勉強はきちんとやるべきだということを伝えます。
数学Ⅲよりも共通テストの勉強を優先する理由
国公立大学に合格するかはほぼ共通テストの結果で決まるので、数Ⅲの勉強をほとんどしない人や学校が多いです。
多くの高校では、数学Ⅲは、高校3年生に入ってから、あるいは高校2年生の後半頃から習い始めます。
私立大学の専願の人などは、数学Ⅲの勉強をたくさんできます。(私立大学理系の数学は、数学Ⅲが高頻出)
しかし、国公立大学を志望している人は、数学Ⅲの勉強ばかりをするわけには行きません。
例えば、長崎大学の工学部であれば、(私の出身地なので)
共通テスト 700点 2次試験 740点の配点です。
そのうち、共通テストの数学は、数学ⅠAⅡB合わせて200点。
2次試験の数学は、300点です。
2次試験では、数学Ⅲが約半分出題されます。
2次試験の配点が極端に低い場合は、数学Ⅲにそこまで力を入れなくても良いですが、この場合だとそういうわけにも行きません。
※ご自身の志望校の配点などは、こちらを参考にしてください。
Kei-net: https://www.keinet.ne.jp/
また、国公立大学の出題は、共通テスト(旧 センター試験)の後、自己採点をし、予備校にリサーチを出します。
その判定を見て、出願する大学を決めます。
つまり、共通テストの結果を元に全員出願するので、共通テストの結果が志望校のボーダーラインの予想に達していない場合、合格する可能性はかなり低くなります。(ボーダーラインを超えている大学に出願することが多いため)
そういうわけで、志望校に出願するためには、共通テスト(旧 センター試験)が重要であるので、数学Ⅲよりも共通テストの学習を優先してしまいます。
同様に、受験生になると、模試が増えます。マーク模試を受験する頻度が多いことから、結果を見て焦り、共通テスト(旧 センター試験)の勉強を優先していまいます。
これらが良い、悪いということではなく、このような考えになってしまうのは、仕方ないということです。そして、他の受験生も同じ心理ですので、心配しなくて良いです。
ただし、大学に合格するかどうか最後は数Ⅲで決まります。
大学の出願は、共通テスト後にリサーチをした上で、行います。
つまり、大学受験は、同じくらいの共通テストの点数の人が多く受験する場合が多いです。
もちろん、戦略的に合格する確率の高い所を受験する人も多いですが、よほど共通テストで貯金できていない限り二次試験で逆転される可能性もあります。
つまり、数Ⅲを軽視していいわけではありません。
数学Ⅲがわからない理由
共通テストの勉強と並行して学習するために、勉強期間が短いので、数学Ⅲがわからない、苦手だというのもあります。解決するには、時間をつくるしかありません。
数学Ⅲをわかっていない多くの原因は、それだけではありません。
数学Ⅲは、「数学ⅠAⅡB」の上位互換である。
ここを理解していないことが多いです。
実は、理論は、ほとんど数学ⅠAⅡBで学んでおり、数Ⅲで新しく学ぶことは少ないです。
ただし、数学ⅠAⅡBを学習している時は、単元ごとに一つ一つ学習すれば良かったですが、数学Ⅲでは、数学ⅠAⅡBの各単元を同時に利用するので、数学ⅠAⅡBのほぼ全範囲の内容がインプットできている状態であることが必要です。
つまり、数Ⅲがわからない理由は、数学ⅠAⅡBにある可能性が非常に高いです。
特に、次にまとめる数学Ⅲの特徴を見て、自分の数学ⅠAⅡBの苦手範囲が無いか確認してみてください。
数学Ⅲの単元別特徴
複素数平面
数学ⅠAⅡBの単元で関連性が深くあるもの
図形と計量、図形の性質、図形と方程式、複素数と方程式、ベクトル
複素数という数は、ただでさえ分かりにくい単元ですが、それを平面で考えるわけなので、混乱する人は多いように感じます。
位置ベクトルと対応させながら、学習することで少しは分かるようになります。
2次曲線と関数
数学ⅠAⅡBの単元で関連性が深くあるもの
2次関数、図形と方程式
図形と方程式を学習するときでも苦戦した「軌跡」。2次曲線でも「軌跡」を中心に学習します。楕円や双曲線の定義もしっかり覚えておきたい所。
極限
数学ⅠAⅡBの単元で関連性が深くあるもの
数列、2次関数、三角関数、指数対数
無限大というイメージがしづらい単元です。ここら辺からは、躓くほとんどの理由は、数ⅡBの未完成によることが多いです。数ⅡBの学習、特に漸化式と三角関数の学習は良くやっておくといいです。
微分法・積分法
数学ⅠAⅡBの単元で関連性が深くあるもの
2次関数、三角関数、指数対数、微分積分(数Ⅱ)
理論は、ほとんど数Ⅱで習っているので、難しくはないですが、計算が大変です。
もちろん、計算の習得のために、数ⅠAⅡBの定着は必須です。計算練習をしっかりと行っておきましょう。
数学Ⅲの勉強のはじめ方
参考書や問題集を始める前に、映像授業で流れをインプット
近年、スタディサプリやTry it、You Tubeなどで映像授業が受けやすくなりました。
映像授業のイメージは、ドラマ、アニメ(映像授業)を見た後に、小説、漫画(参考書)を読むと、すぐに細部まで頭に入りますよね。この感覚に近いです。
限られた時間の中で、効率よく学習することが求められているので、まず、流れを確認しましょう。
教科書や参考書を読み、細かい所を確認しておく
映像授業で大体内容がわかったら、後は公式の証明などの理論を固め、なぜ、〇〇定理が成り立つのかなど、深く考えることに専念しましょう。
網羅型の参考書・問題集で基本例題をインプット
黄色チャートなどの網羅型の教材を利用して、頭に入れた内容を応用できるのか練習しましょう。
典型的な問題は、解法を知っておくと良いです。ただし、丸暗記にならないように注意が必要。
チャート式に関する記事はこちら
白チャート・黄チャート・青チャートの違いとおすすめの人を紹介
実践的な問題集を使って演習する
問題演習は定着のためには不可欠です。解けば解くほどできるようになるわけではありませんが、最低限の量を解くことは必要です。
いろいろな問題に触れるようにしましょう。
大学の過去問で、入試問題にチャレンジしてもいいです。
数学Ⅲのおすすめの参考書
数学の独学におすすめの参考書・問題集を紹介します。有名で多くの人が使っている教材から知られてはいないがいいと思う教材も紹介します。
期間の目安は、毎日各教材の勉強しかしない場合を想定しています。例えば、2冊同時に行う場合は、2倍の期間だと思ってください。
白チャート
〇種 参考書 〇難易度 基礎 〇期間 1~2ヵ月
映像授業で流れを学んだ上で、教科書をしっかりと読み込みましょう。教科書にも意図のある良い例題がたくさんありますが、量が少ないので、白チャートを用いて、基本事項と例題を通して、土台を作ることができます。
チャート式の中では、かなり丁寧に解答が書いてあり、初学者には申し分の無い教材です。おすすめします。
初めから始める数学
〇種 参考書 〇難易度 基礎 〇期間 1~2ヵ月
一行一行の式変形まで詳しく解説してくれている教材です。白チャートも非常にいいのですが、解説が詳しいわけでは無いので、一人で完璧にするのは難しいかもしれません。
しかし、マセマシリーズのこの教材は、誰にでもわかるようになっています。ただ、網羅性がチャート式に比べると劣るので、一度本屋で目を通して、チャート式と比較してみることをおすすめします。
入門問題精講
〇種 参考書 〇難易度 基礎 〇期間 1ヵ月
数Ⅲを使う理系だからこそ、確実に内容は理解していて欲しいです。
二次試験や一般入試で数Ⅲを使うような理系の人であれば、ただ解法を覚えているだけでなく、公式などの導出もできるようになっておくといいです。この教材では、数学の土台となる部分を完璧にしてくれます。
「入門」だから「簡単」ということではなく、土台の部分だから各分野完璧になっていないといけません。一度本屋で目を通し、内容を知っているのかチェックしてみてください。怪しい所があれば、是非取り組んでください。
初めから解ける数学問題集
〇種 問題集 〇難易度 基礎 〇期間 1ヵ月
マセマシリーズの問題集で、解説が非常に丁寧です。普通の問題集の解説は、解答が書いてあるだけなので、理解できない場合も多くあります。しかし、この問題集の解説は「初めから始める数学」と同じで一行一行の式変形から解説しているので誰にでもわかるようになっています。
黄チャート
〇種 参考書 〇難易度 基礎 〇期間 1~2ヵ月
教科書等で理論などが理解できた場合は、典型的な問題を知っていくことが重要です。
入試問題も、この典型的な問題を組み合わせて作成されていることが多いので、解法を知っているのと知らないでは、点数に差が出てきます。
ただし、「解法暗記」に頼り、そもそも、理論が出来ていない人は、解法を知っても、入試問題では得点できません。
この段階の学習法で、偏差値などにも影響するので、注意してください。
何回も解きなおすのではなく、正しく1~2回で定着させましょう。
「量」より「質」です。
チョイス
〇種 問題集 〇難易度 標準 〇1~2ヵ月
黄チャートの内容が本当にできているのかこの問題集で確認できます。
演習すればするだけ、数学ができるようになるというわけではないですが、ある程度の量を演習することが必要です。
また、黄チャートでせっかく勉強したのであれば、できるようになっているか「テスト」をしてみたいですよね。
それに最適な教材は、「チョイス」です。
問題AとBに分かれており、問題Aが黄チャートの基本例題レベル。問題Bが黄チャートのExercisesレベルです。
この段階では、できていない所の確認ができる状態にしておきたい所。
プラチカ
〇種 問題集 〇難易度 応用 〇期間 2ヵ月
チョイスと同じく問題集として利用するのが「プラチカ」です。
入試問題レベルの典型問題を多く取り扱っており、実際に入試に出題された場合は、落とせない問題が集められています。
話は逸れますが、入試問題は、「落とせない問題」「合否を分ける問題」「解けなくて良い問題」が割り当てられています。
例えば、東京大学でも、「落とせない問題」レベルが6問中2問くらい出題されます。逆にあまり偏差値の高くない大学でも「解けなくても良い問題」が出題されます。
つまり、東京大学の問題よりも難しい問題が他の大学で、普通に出題されます。
東京大学を受験しようが、他の大学を受験しようが、まずは、「落とせない問題」をしっかり解くことが重要です。プラチカを使って、問題に対応できるか確認しましょう。
そして、何よりもおすすめするポイントは、解説です。
問題の解答だけではなく、別解も豊富です。「話題と研究」として、数学をさらに深く知ることができるコラムもあります。この部分の解説を読むためだけに、「プラチカ」に取り組んでもいいくらいです。
結果的に、問題よりも解答解説の冊子の方が、分厚いです。
通学時に、プラチカの解答を読むというのを習慣にしていた学生もいました。
プラスエリート
〇種 参考書 〇難易度 応用 〇期間 常時
プラスエリートは、「完成された教科書」です。
学校で使っている教科書との違いは、教科書には、全ての説明が書いてあるわけではなく、先生がその間を説明して、初めて完成します。しかしその説明する内容や、濃度は先生の力量、判断に依存してしまいます。これは、塾や予備校の授業も同じです。授業で全てを説明する先生というのは、存在しないのではないでしょうか。これには、もちろん、理由があります。クラスのレベルも異なるし、先生によって重要だと思う所も違います。
プラスエリートでは、網羅しているので、学んでいる環境によってできる差の問題を解決させてくれる最強の「教科書」です。独学をしている人には必ず手に入れたい所。
数学Ⅲの勉強をコツコツやるには
数学Ⅲの学習とは限りませんが、勉強をコツコツ行うことは非常に難しいことです。
また、勉強するにしても何から手を付けたらいいか、まだ分からないなどの理由で勉強ができていないケースは多く存在します。
古賀塾では、勉強習慣を身につけるようになるためのサポートを行っています。
東進の元校長の教務経験を活かし、勉強計画を一緒に考え、今週は、どの授業を受けるのか、どの教材を解くのかなどを一緒に決めます。
また、遠方の方でもオンラインで授業や面談を行っているので、常に状況を確認しながら、アドバイスができます。
数学Ⅲを独学で学習する方法のまとめ
数学Ⅲを独学で行う人は、非常に多いです。
気を付けることは、数学ⅠAⅡBの勉強との両立です。
ただし、数学Ⅲは数学ⅠAⅡBの延長だということが、分かっただろうか。
つまり、数学Ⅲの勉強を通して、数学ⅠAⅡBの確認もできるし、数学Ⅲの勉強のために数学ⅠAⅡBの勉強をすることも重要だということ。
模試の結果に過敏になりすぎずに計画的な学習ができるかが重要です。
福岡県西区で大学受験をする方や福岡の大学を受験する方は、古賀塾で対策を!
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福岡にお住まいの方は、是非一度訪ねてみてください。お待ちしております。
※古賀塾についての記事はこちらをご覧ください。
古賀塾では、独学のサポートも行っています
数学を学ぶ上で気をつけるのは、導入時に理解したつもりになってしまっていないかどうかです。教科書を自分で読んで理解したつもりになっている人が非常に多いです。古賀塾では、オンラインでの個別授業で導入のサポートを行っています。授業では、どこが原因で数学ができていないのかも分析していきます。
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個別指導の古賀塾の塾長。医学部予備校「メディカルラボ」、Z会グループ「アオイゼミ」などで講師経験と東進衛星予備校の校長としての教務経験をもっています。
入試問題の作成や模擬試験の作成、参考書やタブレット教材などの教材作成やマイナビ「中学受験受験ナビ」https://katekyo.mynavi.jp/juken/ などでの連載も行っています。
担当した子ども達に「しっかりと寄り添って自立させる」をモットーに親身になって指導をする先生です。
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