「弁償算」は、中学受験の定番の内容です。
2つ以上の異なる種類のものがあり、その合計数だけがわかっているときに、それぞれいくつずつあるかを考えるという問題です。
保護者の方にとっては、連立方程式等で解けると思いますが、小学生の子どもたちには方程式は知りません。
方程式を使わずにご家庭で「弁償算」をお子さんに教える際に、教え方が分からないと困っている方もいると思います。
弁償算の基本の3パターン
それでは以下の3つのパターンを考えてみましょう。同じようにお子さんに教えてもらえたらいいです。特に、数式だけで理解させるのではなく、方程式のやり方をかみ砕く形での解法となりますので、「型」を覚えてほしいと思います。
【解法1】ゲームの勝ち負け(面積図)
【解法2】弁償算の意味
【解法3】階段の上り下り(じゃんけん)
【弁証算の解法1】ゲームの勝ち負け(面積図)
弁償算の解法の手順を整理します。
面積図を使った解き方は、以下のようになります。
手順①
問題文を読んで、面積図を書いて見ましょう。
横の長方形を
<勝ち> 縦:得点(5点) 横:回数(勝った回数)・・・(ア)
縦の長方形を
<負け> 縦:得点(2点) 横:回数(負けた回数)・・・(イ)
また、この2つの長方形の重なる部分も書いておきます。 ・・・(ウ)
手順② 得点の差を考えておきます。
56-20=36(点)増えています。
これを面積図で確認すると
(ア)-(イ)=36(点)
手順③ 面積図の重なっている部分を考えます。
(ア)ー(イ)
= {(ア)+(ウ)}-{(イ)+(ウ)}
= 36(点)
(ア)+(ウ)
= 5(点)×(勝った回数+負けた回数)
= 5×10
= 50(点)
50(点)-{(イ)+(ウ)}=36(点)
(イ)+(ウ)=50-36=14(点)
手順④ 負けた回数を求めて、勝った回数を求めます。
面積図より
(イ)+(ウ)=(2+5)×負けた回数=14(点)
よって、負けた回数=14÷7=2(回)
10-2=8(回) 勝った回数は8回・・・(答)
※答えが出た後は、問題に合っているか確認をすることを忘れないようにしましょう。
【解法2】弁償算の意味
1個当たりの弁償分に注目して解いていきます。
※つるかめ算の応用ですので、2パターンの解き方で考えてみましょう。
1⃣すべて運べた 2⃣すべて割った
1⃣すべて運べた
手順① 「すべて運べた」として報酬の合計を考えます。
すべて運べたとすると報酬の合計(総額)は
10(円)×100(個)=1000(円)
手順② <重要>運べた→割った ときの金額の差を考えます。
1個運べずに割ってしまうと
10(報酬分)+70(弁証分)=80(円)
引かれてしまうことになります。
手順③ 割った個数を求めます。
報酬額が680円なので、
1000-680=320(円)分 引けばいいので
320(円)÷80(円)=4(個)
4個・・・(答)
2⃣すべて割った
手順① 「すべて割った」として報酬の合計を考えます。
すべて割ったとすると弁証代の総額は
70(円)×100(個)=7000(円)
手順②<重要>割った→運べた ときの金額の差を考えます。
1個割らずに運べると
10(報酬分)+70(弁証分)=80(円)弁償代が減ります。
手順③ 運べた個数を求めます。
報酬額が680円なので、
7000+680=7680(円)
※680円は(+)、7000円は(-)なのでその差を考える
7680(円)÷80(円)=96(個)運べたことになるので
100-96=4
4個・・・(答)
※答えが出た後は、問題に合っているか確認をすることを忘れないようにしましょう。
【解法3】階段の上り下り(じゃんけん)
こちらの問題についても見ていきましょう。
手順① 問題文が長いので、はじめに条件を整理しましょう。
・15回じゃんけん
・A君は最初の位置から19段上
・B君の位置はわからない
・A君のあいこの数は負けた回数より2回多い
手順② あいこの回数と負けの回数を考えます。
A君がすべて勝ったとします。
5×15=75段となりますが、実際は19段なので、少なくとも1回は負けていることが分かります。また、あいこの回数も少なくとも(1+2=)3回はあったということになります。
勝ち1回→負け1回 5+3=8段の差
勝ち1回→あいこ1回 5-1=4段の差
<重要>
負けを1回増やすと、あいこも1回増やさないといけませんので、
勝ち2回→負け1回+あいこ1回 8+4=12段の差 となります。
手順③ 勝ちの回数からあいこの回数と負けの回数を求めます。
少なくともあいこは3回なので、
あいこ3回、負け1回の場合を考えます。
75-8(負け)-4×3(3回あいこ)=55(段)
ここから19段までの差を考えると
55-19=36(段)となり、
勝ち6回→負け3回+あいこ3回(=12×3=36段)と変換すればいいので
あいこ 3+3=6(回)
負け 1+3=4(回)
勝ち 15-(6+4)=5(回)・・・(答)
手順④ B君の位置を求めます。
A君の勝敗が 勝ち 5回 負け 4回 あいこ 6回なので
B君の勝敗は 勝ち 4回 負け 5回 あいこ 6回となります。
(勝ち負けが反対)
上に上がる分は 5段×4回+1段×6回=26段
下に下がる分は 3段×5回=15段
26-15=11段
B君は最初の位置より11段上にいる・・・(答)
※答えが出た後は、問題に合っているか確認をすることを忘れないようにしましょう。
弁証算の教え方のまとめ
弁証算の考え方はつるかめ算の応用になります。まずはつるかめ算の練習を行ってから、弁証算の問題にチャレンジするようにしましょう。得する・損する、そしてその差の考え方がとても重要になりますので、解説の式だけ覚えるのではなく、意味をしっかり理解するようにしましょう。
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