こんにちは!
古賀塾で英語を担当している山下です。

今回は、古賀塾のノウハウのうち、九州大学の2次試験における英語に向けた内容をお伝えします。

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九州大学の英語の傾向

九州大学の英語は、最近の5年間の傾向では

 □ 長文読解3題(120〜130点)
  ……和訳問題、内容説明、内容一致(選択肢)、要約

 □ 英作文2題(70〜80点)
  ……和文英訳、自由英作文、グラフの説明

が出題されています。

全体的な特徴として、

 ・ 記述量が多い
  →普段から、必ず答案を作成する必要がある

 ・ 高難度よりも標準問題が多い
  →その分、基本に忠実に素早く正確にできるように
   ミスが命取りになりやすい

 ・ 得点差がつきにくい

ということが言えます。

3点目について、少しだけ補足します。

九州大学英語は、ちゃんと勉強していれば、対策すれば200点満点中120点まではとれるようになります。

逆に言えば、ほとんどの人が、その得点帯に集中しています。

ということは「英語で120点をとる」ことが挑戦資格のようなもので、早い時期に力を入れて対策をしたあとは、数学や理科で勝負をかけられるようにしておくことが非常に重要になります。

さて、英語の学習は、下のように大きく6つのパートに分けられます。

  • 単語、熟語
  • 文法
  • 構文、解釈
  • 長文
  • 英作文
  • リスニング

以下、それぞれのパートについて、詳しく見ていきます。

1. 九州大学英語に必要な英単語・熟語について

なんと言っても最初に取りかかるのは英単語です。

英単語帳は、基本的には学校で指定されているもので十分だと思います。

それを前提に、注意すべき点は

 ・中学〜高1、2レベルも手を抜かない

 ・0.2秒で思い出せるまで繰り返す

 ・短期集中で詰め込んでからは定期メンテナンス

という3点です。

【中学〜高1、2レベルも手を抜かない】

九州大学を目指そうと意気込む人が英単語帳をとると、大抵の場合は『ターゲット1900』『システム英単語』『Stock 4500』などだと思います。

それらのレベルはとても大切なのですが、それらに取り組む前に、たとえば『ターゲット1400』『Stock 3000』のレベルは完璧に言えるようになっているでしょうか?

前者が、九州大学の英語でもよく出てきたり、ポイントになることは間違いありません。しかし、英文全体を見渡した場合、その1つ下のレベルの英単語の方が当然多いです。

たとえば漢字も同じでしょう。

高校入試で出題される(実際に得点に繋がる)漢字は、中学2〜3年生の教科書に載っているものが多いかもしれません。

ですが、文章全体を見れば、小学生までに習った漢字の方が多く出ているはずです。

これが分からなければ、どんなに読み方や解き方を習ったところで、上達はありえません。

英語も同じです。

騙されたと思って、1つ下のレベルの英単語帳で、0.2秒以内に意味を言える単語の数が95%を超えているがどうかを確認してください。

【0.2秒で思い出せるまで繰り返す】

先程の項にもありましたが、「覚えた」かどうかの基準は「0.2秒以内に意味を言えるか」だと思います。

まず覚えた気になっていたとしても、思い出せなければ意味がありません。

なので、「日本語を見れば分かる」というのは、なんの意味もありません。

また、10秒かかって意味をなんとか思い出せたとしても、1つの段落でそんな単語が4つも5つも出てくれば流れを見失いやすくなりますし、九州大学の前に受験する共通テストでそもそも十分な得点がとれません。

英単語の意味を思い出すために平均して2秒かかる人と1秒かかる人では、共通テスト6,300語を読む間に約6,300秒、つまり15分の差がついてしまいます。

多くの場合、速読ができないと悩んでいる人は、このレベルで「単語を覚えていない」ことがとても多いように感じます。

普段の単語テストでも、100問5分など、厳しめの制限時間を設けて取り組むようにしましょう。

【短期集中で詰め込んでからは定期メンテナンス】

ここまでに到るためには、シンプルに回数しかありません。

何回も繰り返し書いたり読んだりして覚える。

それを、次の日と、その週末に確認する。

その繰り返しです。

たとえば、高2の3月にこれを読んでいるのならば、春休みに英単語を1,000〜2,000単語、覚えてみましょう。

大変だと思うかもしれません。

その通り、大変です。

ですが、繰り返すうちに徐々に負担は減ってきます。

春休みに一気に覚えて、4月からは文法や構文の勉強をしつつ単語・熟語の2周目を行い、学校での小テストでは毎回満点とるように頑張ってみてください。

学校指定のものだけでも、戦いに臨むことはできます。

しかし、最近、少しずつ長文の難易度が上がっていることを考慮すると、英検準1級の単語帳(『パス単 準1級』や『文で覚える英単語』)まで取り組んでおくことをおすすめします。

英語が好きな人は『上級英単語 LOGOPHILIA』を利用してみても良いかもしれません。

時期は、できるだけ早い方が良いです。1年生でも、単語だけは先に全部覚えてしまうことだってできますね。

2. 九州大学英語に必要な文法

文法問題は出題されませんが、それが分かっていないと、次の項であり、最も重要な英文解釈がマスターできません。

また、最新年度では配点がやや減ったとはいえ、九州大学ではまだまだ200点満点中70点も自由英作文が出題されています。

文法的にミスのない英文を書くために必要なものは、添削よりも文法の知識です。

これもまた、学校で指定されている問題集で良いと思います。

古賀塾の近隣の高校では下記のような文法問題集が指定されていることが多いですね。

  • Bright Stage
  • Vintage
  • Scramble
  • PowerStage

この中ではBright Stageがやや易しいですが、英文解釈や英作文の基礎固めとしてやっておくには、十分だと思います。

逆に、Power Stageなどは、併願する私立大学の対策にはなりうるとは思いますが、九大の基礎固めとしては、ややオーバー気味だと思います。

1周目としては、やや時間をかけて1日50問ずつくらい解けば2〜3週間くらいで仕上げられるでしょう。

次のその半分の期間(1〜2週間)で2周目、さらに1〜2週間ほどで3周目、4周目とやっていけると良いですね。

古賀塾でも導入している『学びエイド』では、これらの問題集に対応した解説をすぐに検索して受講することができるので、とても勉強しやすいと思います。

定期テスト対策にもなりますし、英文法の問題が露骨に出題されるわけではないので、このくらいで十分でしょう。

単語や熟語と同じように、どんどん先取りができると思います。

2年生の冬になるまでに仕上げるのも手です。どんなに遅くとも、受験学年のGW前までに1〜2周は終わらせておきましょう。

3. 九州大学英語に必要な構文・英文解釈

最近は、少しずつ軽視する流れがおさまってきているようにも感じますが、九州大学なども難関大学を目指している人にとって最重要なのは、この「構文」や「英文解釈」と呼ばれるものです。

わかりやすさを優先して言えば、日本語訳の練習です。

ただ、日本語訳そのものを練習したいのではなく、

  • どのような手順で主語と動詞を見つけて
  • 修飾、被修飾の関係をとらえ
  • 文の流れをとらえるか

のを練習することになります。

この手順が身についているかどうかを確認する手段が、日本語訳ですね。

たとえば!

下の文の中にはcoveringとhaving、2つの-ingが存在しますが、それぞれどんな働きをしているのか、どんな訳をすればよいのか、即答できますか?

For example, in January 2022, a dust storm covering nearly twice the area of the United States led to some of NASA's exploration equipment on Mars having to be powered down until the storm passed.

この問題の解説は、こちら!

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確かに、他の旧帝大(東京大学、京都大学、大阪大学、北海道大学、東北大学、名古屋大学)にくらべると、九州大学の英語は、比較的取り組みやすい英語で書かれています。

しかし、それでも

  • 少しずつだが、難化傾向にある
  • 内容説明でも解答の中心になる部分が読みにくいことがある
  • 配点が大きくなっている英作文に解答時間を残したい → 長文読解を素早く処理したい

などを考えると、やはり、ある程度のハイレベルな内容まで訓練しておく必要があるでしょう。

構文・英文解釈を勉強するのにおすすめの参考書・問題集

最初の1歩目としておすすめなのは、学びエイド「宮下卓也の英文読解の土台(基礎編)」です。

共通テストや、センター試験の英文を遣って「構文をとって読むとはどういうことか」がわかる講義になっています。

参考書なら『基本はここだ!』『肘井学の読解のための英文法』があたりますが、一気に短期間で終わらせたい場合は、動画の方がおすすめです。

知った基礎知識を定着させ、応用する準備を整えるために、次のレベルは『入門 英文読解精講』です。

旺文社から出版されている、駿台の竹岡先生が著したものですね。

いきなり解答を提示してその解説を行うのではなく、なぜそのように考えるのか、という点を説明をしてくださっています。

また、重要なテーマは、何度も何度も繰り返し登場しているのも、「絶対にこの本で定着させる」という気持ちが伝わってくるのもおすすめポイントです。

続編と言っても良い『英文熟考(上・下)』は、2023年に大幅に改定され、さらに取り組みやすくなりました。

ここまでやっていれば、九州大学対策としてはひとまず大丈夫でしょう。

扱った英文は何度も何度も音読して、覚えてしまうくらい繰り返すのが重要です。

4. 九州大学英語に必要な長文読解

構文・英文解釈が終われば、いよいよ長文読解です。

最初のうちは、解答することよりも、しっかり1文1文を最後まで読み切ることを意識してください。

ここの作業が雑だと、結局、解答も雑なままになってしまい、

ある程度、読み込めるようになったと思ったら、少しずつ解答時間や答案の作成の仕方に意識を向けていきましょう。

正確に読んでいきながら、早く読むなんて難しい…!と思っている人は、学びエイド「【リマスター版】山下両得の夢を叶える英語 スラッシュリーディング速読講座」を勉強してみてください。

どうやったら、その両立ができるのか、その答えをスラッシュリーディングの中に見つけることができるでしょう。

そこからは関正生先生の『英語長文 the Rules』のレベル2・3など、構文がしっかりとられている長文問題集に取り組みましょう。解法についても、とても整理されていておすすめです。

過去問演習に入る前の仕上げとして、

  • 英語長文 ポラリス』レベル3
  • 『大学入試 英語長文プラス 記述式トレーニング問題集』

に取り組んでおくと、より良いでしょう。

特に『記述式トレーニング』の方は、河合塾の模試作成にも関わっておられる宮下先生が、ご自身の豊富な指導経験に基づく採点基準を示しておられたり、どのようにその解答に至るのか、そのプロセスがしっかりと書き込まれています。

英文そのものよりも、減点されない答案をちゃんと書き上げることが大変であることが確かですが、必ず自分で書くようにしてください。

その分、やり遂げたあとについている力も骨太であることは間違いありません。

ここまでくれば、基本的には九州大学の過去問になります。

『九州大学の英語 15ヵ年』をどんどん進めていきましょう。

9月末〜10月中旬までにスタートしておくとよいですね。

過去問をやりつつ、自分の苦手を分析し、

  • 長文中だと構文の取り方が雑になる / 不安だ → 『英語長文 the Rules(3, 4)』
  • 過去問と並行して問題演習をもっとしたい → 『やっておきたい英語長文 500、700』

など、必要に応じて追加の課題に取り組みましょう。

そして、長文でも大事なのが音読です。

構文を意識して10回、意味を意識して10回、スピードを意識して10回の計30回が目標です。

記事を書いている私(山下)も、演習した長文は50回くらいずつ、過去問も10〜30回は音読をしていました。

5. 九州大学英語に必要な英作文

英作文の配点は、この数年で配点がとても大きくなってきています。

かつては、200点満点のうち和文英訳と自由英作文をあわせても50点程度しかなかったのに対し、2023年度は英作文の配点が80点になっていました。(2024年度は、やや減少して70点)

和文英訳の対策は、

  • 知っているフレーズ、例文を増やす
  • 問題の和文を言い換えて、知っている表現にあてはめる

ことが基本です。

自由英作文は、

  • 英文を書く基本パターン(型)を覚える
  • 1つのテーマでもいろんな切り口で答案を作成する

ことが基本になります。

もちろん、それ以外にも気をつけるポイントはありますが、まずはそこから。

この対策をするために重要なものは『基礎英作文問題精講』です。

こちらも、構文・解釈のときに紹介した『入門英文問題精講』を著した竹岡先生が著しておられます。

前半で、和文英訳の対策と、自由英作文の基礎固めを行います。

次に自由英作文の考え方をしっかり抑えたうえで、100語程度の自由英作文に取り組んでいきます。

ややボリュームがあるように感じるかもしれませんが、内容も、レベルも、演習量も、九州大学対策にはベストな1冊です。

このあとは、長文読解と同様、『九州大学の英語 15ヵ年』で演習を重ねていきましょう。

もしも、この記事を読んでくれているのが1年生であれば、英作文の対策をするよりも、単語・熟語・文法・構文をさらに鍛えまくることの方に力を注いでください。

それでも英作文の勉強をしたい、というのであれば、大矢先生の『英作文講義の実況中継』がおすすめです。

高1の生徒でも習ったような文法事項をもとに、間違えやすいポイントが、とても綺麗に整理されています。

PART 2 の、似たような日本語に対する英語の使い分けも、とても便利です。

ただ、覚えるべき例文リストなどはないので、この本で身につけるのは「考え方」と「採点官の視点」となります。

自分がどんなミスをしやすいのかを把握したうえで、よりハイレベルな文法や『基礎英作文問題精講』へと進んでいくと、より注意深く進んでいくことができるでしょう。

そして、英作文でもやっぱり音読は大切です。

過去問に取り組むようになると先生に添削してもらうことも重要になりますが、基礎固めのときは、「自分でも書く」ことと「例文をしっかり覚えること」が重要です。

例文や解答例を覚えてしまうほど、音読を繰り返していきましょう。

6. リスニング

九州大学の個別試験では(今のところ)出題されていませんが、共通テストでの得点が重要になるリスニングについても簡単に触れておきます。

共通テストのリスニングを対策して、リスニングの点数を上げることはもちろん重要ですが、そのスピードに慣れて、結果的に九州大学の英語もその速さで読めるようにしていきましょう。

リスニングの対策では、弱形やリンキングなどの勉強ができると、それがベストです。

しかし、その時間を作ることが難しい人は、今から書くことだけでもやっておいてください!

共通テストの模試や過去問を解き終わったら、もう何度か音声を聞いてみます。

「この辺が聞き取れないな」というのが、明確になってきたら、スクリプト(読み上げ原稿)を見ながら音声を聞いてみてください。

そして、ヒソヒソ声で構わないので、スクリプトを見ながら、音声に合わせて音読ができるか何度も試してみてください。

リスニングの対策として、「たくさん」聴くようにアドバイスをされることがあるかもしれません。

まずは、同じ文を「たくさん」何度も聞いて、ついていけるようにしてください。

それから、色んな種類の文を「たくさん」聞いてみる。そのように2段階の「たくさん」で勉強を進めるようにしてください。

7. 英検のスケジュールについて

九州大学では、英検で優遇されることはないですが、

  • 併願先の私立で優遇されるかも
  • 学習スケジュール

の観点で、高3の夏まで(6月の従来型、またはそれまでに実施されるCBT型)に、準1級に合格できるように勉強しておくことを目標にしましょう。

傾向は違うため、九州大学対策、という観点から見れば遠回りになる部分があることも確かです。

しかし「九州大学を目指してしっかり力をつけてきたから、英検は過去問を何回か解いておけば大丈夫そう」という段階に、夏までを目安になっていると、その後の数学や理科の対策にかけられる時間、ひいては合格率に大きく影響してきます。

福大や西南を併願するのであれば、準1級に合格しておくことは、非常に大きなアドバンテージになります。

西南学院大学の英検利用について


さて、いかがだったでしょうか?

とても長かったですが、ぜひ、参考にしてみてください。

「自分は、こんな風に勉強しているが大丈夫か?」と心配になった人は、ぜひ、相談ください。

ベストな勉強をご提案いたします。

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投稿者プロフィール

山下 拓海
山下 拓海
生徒それぞれの目標に対し、現状把握・分析から最短距離で合格するためのカリキュラムとスケジュールを作成し、進捗をしっかり管理することで合格力を高めます。
大学在学中から塾講師として指導に携わる中で、生徒の成績をアップさせることに魅了されました。東進衛星予備校の校長としての教務も経験しております。
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