「消去算」とは、複数の関係式をたてて分からない数(未知数)を求める問題です。

「和差算」と同様に、小学校では4年生で習う内容となります。これは中学生で習う「連立方程式」の文章題を、小学生の知識でどうやって解いていくか、ということになります。

一度方程式の知識を入れてしまうと、その考えで解こうとするのですが、小学生にはその知識がありませんので、方程式を使わずに解く方法を考えてみましょう。

ご家庭で「消去算」をお子さんに教える際に、教え方が分からないと困っている方もいると思います。

今回は、基本的な部分の指導を得意とする「古賀塾」の先生、日本数学検定協会認定 数学コーチャー西野が、「消去算」の教え方についてまとめます。

消去算の基本の3パターン

それでは以下の3つのパターンを考えてみましょう。

 【解法1】最小公倍数で数を揃えて消去する
 【解法2】一方をもう一方の数量で置き換える
 【解法3】3つの未知数が出てくる場合
     (それぞれの数を揃えて新しい関係式を導く)

手順① 問題文を読んで、式で表してみましょう。
   (図で表しても大丈夫です)

※式で表す場合
 みかん1個の値段を(み)
 リンゴ1個の値段を(り) とすると
  (み)×4+(り)×3= 470 ・・・⑴
  (み)×9+(り)×2= 630 ・・・⑵

手順② みかんかりんごかいずれかのかずを合わせます。

今回の場合、リンゴの数の3と2の最小公倍数にそろえましょう。
(みかんの数でもできます → 4と9の最小公倍数)

⑴を2倍、⑵を3倍しましょう。
  (み)×8+(り)×6= 470×2 ・・・⑴
  (み)×27+(り)×6= 630×3 ・・・⑵

手順③ リンゴの数が合ったので、
    「金額の差」が「みかんの差」と等しくなります。

⑵から⑴を引くことを考えると、
  (み)×19 = 1890-940=950(円)

手順④ みかんの1個の値段を出します。 
   950÷19=50(円)

手順① 問題文を読んで、式で表してみましょう。
    2つの値段の大小を確認します。

※式で表す場合
ボールペン1本の値段を(ボ)
えんぴつ1本の値段を(え)とすると

  (ボ)= (え)+50     ・・・⑴
  (ボ)×3+(え)×5= 950 ・・・⑵

  →⑴の式を考えるとき、
    (高い[大きい]方)=(低い[小さい]方)+〇
   という形で表したほうがいいです。

手順② 式全体からボールペンをなくして、えんぴつだけの式にします。

  ※(ボ)を(え)+50に置き換えましょう。

  {(え)+50}×3+(え)×5= 950 ・・・⑵’

  →(え)×8+150=950

手順③ えんぴつだけの式になったので、えんぴつ1本の値段を出します。

  (え)×8 = 800        (え)=100(円)

手順① 問題文を読んで、式で表してみましょう。
    3つの式を上手に書いてみましょう。

※式で表す場合

やきそばの値段を(そ)、
たこ焼きの値段を(た)、
お好み焼きの値段を(お)とします。

  (そ)+(た)    = 550
      (た)+(お)= 670
  (そ)    +(お)= 620

   →縦に同じものをそろえてみましょう。

手順② 全ての式を縦に足してみましょう。

(そ)と(た)と(お)がそれぞれ2つずつありますね。

 {(そ)+(た)+(お)}×2=550+670+620=1840(円)

すると、(そ)+(た)+(お)=1840÷2=920(円)となります。

手順③ 3つの和が出たので、最初の式(2つだけわかっている)を使ってのこりの1つを出します。

  (そ)+(た)+(お)=920 より

  (そ)+(た)=550なので、
  (お)=920-550=370(円)

  (た)+(お)=670なので、
  (そ)=920-670=250(円)

  (そ)+(お)=620なので、
  (た)=920-620=300(円)

中学受験算数の消去算の教え方のまとめ

消去算の考え方は、中学校でならう「連立方程式」に繋がっていきます。つまり消去算で重要なことは、ものの種類を減らしたい(中学になると文字を減らす・消去する)という考え方になります。

算数も数学もものの数が小さくなると考えやすくなるのは同じです。慣れてきたら「これに揃えれば計算が簡単ですむかも?」などと考えられるようになりますので、始めは面倒くさい解き方でも答えを出してみましょう。

その中でやりやすい、簡単な計算で解く方法が見えてくると思います。その気づきが勉強の本質になります。

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投稿者プロフィール

山下 拓海
山下 拓海
生徒それぞれの目標に対し、現状把握・分析から最短距離で合格するためのカリキュラムとスケジュールを作成し、進捗をしっかり管理することで合格力を高めます。
大学在学中から塾講師として指導に携わる中で、生徒の成績をアップさせることに魅了されました。東進衛星予備校の校長としての教務も経験しております。
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